月曜日になると緊張しながらクラスまで向かった。
　教壇に立ち前を見ると周りは女性生徒だらけだ。や、ヤバい……。
　なおさら緊張してきた。心臓がバクバクと速くなっていく。

「は、はじめまして立花駆です。えっと……今日から２週間教育実習として皆さんと一緒に学びたいと思うのでよろしくお願いします。えーと、まず出席数の確認を」

「先生～それ逆じゃないですか？」

「えっ？　あぁ、本当だ。え、えっと……うわぁっ！！」

　慌てて戻そうとしたが弾みで出席簿を落としてしまった。
　それを見た生徒達は、アハハッと笑われてしまう。完全に生徒達に馬鹿にされてしまった。
　あぁ……真面目で生徒思いの優秀な先生になりたかったのに。
　これだと、ただの間抜けな先生だよ。自分でやっておいて恥ずかしくなった。
　何とか気を取り直して出席数を終わらせると授業を再開させた。
　しかし完全に生徒に舐められてしまい、授業を聞くより質問ばかりされて進まない。

　結局、中途半端のまま授業時間が過ぎてしまい終わった。
　しょんぼりしながら廊下を歩いていると数人の茶髪で派手な女子生徒が声をかけてきた。

「立花先生～途中まで一緒に行こうよ。ねぇねぇ先生ってさ、先生に見えないよね？見た目なんて童顔だし、まだ高校でも通るんじゃない？」

　高校生って……いくらなんでも無理がないか？　確かに童顔だとよく言われるけど。それに明らかに馬鹿にされているよね？　これって……。
　しかもタメ口だし……。

「先生をからかうなよ？　さすがに無理があるだろう」

「いやいや、イケるでしょ？　余裕で。マジさっきのウケたわ～さすが立花先生」

　キャハハッと余計に声を出して笑われる。
　ダメだ……完全に馬鹿にされている。先生の威厳が……。
そう思うと悲しくなってきた。
　しゅんと落ち込みそうになりながらも渡り廊下を歩いていると、前に歩いてくる人物に衝撃を受けた。
　前から他の女子高生達に囲まれて歩いてきた白衣を着たイケメンの男性に、何だか見覚えがあったからだ。えっと……誰だっけ？