1.三匹のJK


午後三時。外では車が走る音や女子高生が「ヒー、あんたやばいわー」とぎゃはぎゃは笑っているのが聞こえる。 


それをよそに窓を隔てたこのおしゃれなカフェでは三人の女子高生がカフェラテを飲みながら、誰と誰が付き合っている...え、あの二人もう別れたよ?などという学校のゴシップ話に華を咲かせている..........







わけなかった。







何かがツボに入ったらしく、いよいよ窒息を起こすのではないかと思われるほど窓拭きのような高さで引き笑いを起こしているJKと、窓を隔てた内側では、

店の自動ドアが開いたときの音楽や、「ポテトMサイズで。」「ママー、ハッ◯ーセットたべたーい」「番号610でお待ちのお客様ー」などという声が聞こえてくる。


そう、ここはおしゃれなカフェでも何でもない、ただの某有名ハンバーガーショップだった。


そして理想の世界では優雅にカフェラテを飲んでいたはずの三人の女子高生は今レジの順番待ちをしていた。


「えーまってぇ、うちここのアプリ消しちゃったんだけどーーー」


とスマホを操作しながら悔しそうに言ったのはサイトウ。

どうやら彼女は、昨日あった推しのインスタライブの画面録画のストレージ確保のためにここのお店のクーポンアプリを消してしまったらしい。


「あ、うちもってるよ。なに食べる?」

「え、マジ??ナイスーー!...えっとじゃあ、ポテトで」

ポテトが食べたいサイトウの救世主、それはホヅミ。

彼女は最近推しを降りてしまったようで、この間スマホ内の大掃除を行っていたためストレージには余裕があった。


「うわ、うちもアプリ消してたわ。ごめんホヅミ、うちもいい?」


ここにもストレージ貧民が一人。これがミシマだ。




三人はホヅミのアプリの恩恵でポテトを買うと席に座った。


「そういえばさ、ホヅミはなんで降りちゃったわけ?結構推してたじゃん」と袋をガサゴソあさりながらポテトをペーパータオルに広げるサイトウ。


「や、実はさ....」




こんな感じでここから何時間も続くヲタク談義が今日もまた始まるのだった。