「はあ……」
これは、私のため息。
眠れなかった。
3人の間を行きかう矢印が絡まって、私の頭の中をぐちゃぐちゃにしていた。
朝陽は彼女のことが「好き」
朝陽とあいつは「友達」
あいつは彼女が「好き」
彼女はあいつが「好き」
朝陽と彼女は……何だろう。
友達? クラスメイト? 好きな人の、友達? 友達の、好きな人?
__私と朝陽は……。
私は四つに折りたたまれたルーズリーフを取り出した。
もう何度見返しただろう。
ルーズリーフはすっかりボロボロになっていた。
「幼馴染み」を消した私たちの名前の間に、矢印はなかった。
その代わり、消しゴムで何度も消した跡が、そこの部分を真っ黒にしていた。
ルーズリーフを睨んで、思い悩んだ末にシャープペンをとった。
そして、もう何度書いたかわからない矢印を、お互いから一本ずつ、丁寧に出した。
朝陽は私のこと……「?」
私は朝陽のこと……。
昼休みになっても、放課後になっても、いつも同じ場所が「?」と空白のままだった。
教科書を見ても正解は書いていない。
先生はこういうことには答えてくれない。
誰だったら教えてくれるんだろう。
何を見たらわかるんだろう。
数学のベクトル問題を解くのと変わらない難しさ。
ただ、私から朝陽に伸びる矢印の空白部分にだけ、シャープペンの芯先で付けられた小さな点々が無数に残されていた。
何度もそこに書きたそうとした言葉。
それに、私はとっくに気づいてた。
__「好きだからそうしたんだよ」
昨夜の朝陽の言葉を聞いて。
いや、その前から。
朝陽の頭を、大事に抱えたあの夜から。
あの夜を思い出せば、その感覚は呼んでもいないのにやってくる。
それはいつから私の中にあったのだろう。
いつの間に芽生えていたのだろう。
その気持ちの名前を、私はもう知っている。
だから、ここの部分は、本当はもうとっくに埋められるはずなのに。
その答えを書くのが怖いから、わからないふりをしている。
書いた瞬間に傷つく自分に出会うから。
だからいつまでも、空欄のままだった。
これは、私のため息。
眠れなかった。
3人の間を行きかう矢印が絡まって、私の頭の中をぐちゃぐちゃにしていた。
朝陽は彼女のことが「好き」
朝陽とあいつは「友達」
あいつは彼女が「好き」
彼女はあいつが「好き」
朝陽と彼女は……何だろう。
友達? クラスメイト? 好きな人の、友達? 友達の、好きな人?
__私と朝陽は……。
私は四つに折りたたまれたルーズリーフを取り出した。
もう何度見返しただろう。
ルーズリーフはすっかりボロボロになっていた。
「幼馴染み」を消した私たちの名前の間に、矢印はなかった。
その代わり、消しゴムで何度も消した跡が、そこの部分を真っ黒にしていた。
ルーズリーフを睨んで、思い悩んだ末にシャープペンをとった。
そして、もう何度書いたかわからない矢印を、お互いから一本ずつ、丁寧に出した。
朝陽は私のこと……「?」
私は朝陽のこと……。
昼休みになっても、放課後になっても、いつも同じ場所が「?」と空白のままだった。
教科書を見ても正解は書いていない。
先生はこういうことには答えてくれない。
誰だったら教えてくれるんだろう。
何を見たらわかるんだろう。
数学のベクトル問題を解くのと変わらない難しさ。
ただ、私から朝陽に伸びる矢印の空白部分にだけ、シャープペンの芯先で付けられた小さな点々が無数に残されていた。
何度もそこに書きたそうとした言葉。
それに、私はとっくに気づいてた。
__「好きだからそうしたんだよ」
昨夜の朝陽の言葉を聞いて。
いや、その前から。
朝陽の頭を、大事に抱えたあの夜から。
あの夜を思い出せば、その感覚は呼んでもいないのにやってくる。
それはいつから私の中にあったのだろう。
いつの間に芽生えていたのだろう。
その気持ちの名前を、私はもう知っている。
だから、ここの部分は、本当はもうとっくに埋められるはずなのに。
その答えを書くのが怖いから、わからないふりをしている。
書いた瞬間に傷つく自分に出会うから。
だからいつまでも、空欄のままだった。