◇◇

 港を背にして美緒が歩き出す。

 萩原商店はまだやっているらしい。

 色あせた日除けと、品揃えの悪い自動販売機はあいかわらずだ。

 学校から子供たちの歓声が聞こえてくる。

 島は何も変わらない。

 僕は黙って彼女の後ろについていった。