美緒がイカスミで黒くなった唇をティッシュでぬぐいながらつぶやいた。
「小三の時のこと覚えてる? 学校に泊まったじゃん」
もちろん。
忘れるわけがない。
「あの時はカレー食べたよね」
窓をたたく雨の音が僕らを昔に引き戻す。
そうだね。
懐かしい思い出だ。
「ねえ、カレーある?」
おいおい、マジですか。
「食べたばっかりじゃん」
「半分ずつ、どう?」と、ちょっと口をとがらせながら首をかしげる。
「本当に食べたいの?」
美緒が無邪気な笑みを浮かべてうなずいた。
やれやれ。
僕は冷凍庫からラップに包んだご飯を取り出して電子レンジに入れた。
レトルトカレーは『マッシュルームたっぷり欧風ビーフカレー』しかない。
ちょっとばかり美緒は不満そうだ。
「もっと安っぽいやつないの? しかたなく食べるような感じの」
「食べ物をそんなふうに言うと怒られるぞ」
「誰に?」
「うーん……、世間様とか」
美緒が笑う。
「巨大怪獣だね」
「かなわないだろ」
「踏みつぶされるね」
そうつぶやいた美緒の微笑みに影が差したような気がしたとき、ちょうどご飯の解凍が終わった。
熱々ご飯を取り出してカレーのパックと入れ替える。
お皿を二枚用意してご飯を分けようとすると、美緒が止めた。
「一つでいいよ。分け合えばいいじゃん。洗い物も減るし」
たいして変わらないけど、それでいいならいい。
僕の方は気にしない。
スプーンだけ二つ用意しているうちにカレーも温まった。
「なんかおしゃれすぎてキャンプっぽくないね」
マッシュルームと肉がゴロゴロ入った具だくさんカレーに対する『個人の感想』です。
「小三の時のこと覚えてる? 学校に泊まったじゃん」
もちろん。
忘れるわけがない。
「あの時はカレー食べたよね」
窓をたたく雨の音が僕らを昔に引き戻す。
そうだね。
懐かしい思い出だ。
「ねえ、カレーある?」
おいおい、マジですか。
「食べたばっかりじゃん」
「半分ずつ、どう?」と、ちょっと口をとがらせながら首をかしげる。
「本当に食べたいの?」
美緒が無邪気な笑みを浮かべてうなずいた。
やれやれ。
僕は冷凍庫からラップに包んだご飯を取り出して電子レンジに入れた。
レトルトカレーは『マッシュルームたっぷり欧風ビーフカレー』しかない。
ちょっとばかり美緒は不満そうだ。
「もっと安っぽいやつないの? しかたなく食べるような感じの」
「食べ物をそんなふうに言うと怒られるぞ」
「誰に?」
「うーん……、世間様とか」
美緒が笑う。
「巨大怪獣だね」
「かなわないだろ」
「踏みつぶされるね」
そうつぶやいた美緒の微笑みに影が差したような気がしたとき、ちょうどご飯の解凍が終わった。
熱々ご飯を取り出してカレーのパックと入れ替える。
お皿を二枚用意してご飯を分けようとすると、美緒が止めた。
「一つでいいよ。分け合えばいいじゃん。洗い物も減るし」
たいして変わらないけど、それでいいならいい。
僕の方は気にしない。
スプーンだけ二つ用意しているうちにカレーも温まった。
「なんかおしゃれすぎてキャンプっぽくないね」
マッシュルームと肉がゴロゴロ入った具だくさんカレーに対する『個人の感想』です。