星夜はその日、自分で車を運転した。
なんでも、助手席に犬を乗せてドライブするのが長年の夢だったようで……。
普段よりも小さめの車。
星夜のプライベート用の車らしい。普段はあまり使わないけれど、犬カフェなんかに行くときはこの車を使っているんだそうだ。
犬が乗るためのドライブシートも完備されていた。ベッドみたいな形をしたソファで、おすわりすることもできるし、伏せることもできる。
こういうのも隙なく持ってるんだもんな……。
マットレスはふかふかした上質なもので、すっごく気持ちよかった。
現世橋をかけてもらい、星夜と二人でドライブ。
後ろからは暮葉さんはじめ警備のひとたちがついてくるらしいけれど、あまり気にならない。
気を遣って、距離を取ってくれているのだろう……。
星夜は一応変装として、薄いサングラスにカジュアルな格好をしていた。
普段は和服ばかり着ている星夜だけれど、そういう格好も似合う。サングラスも意外なほど、彼の端正な顔立ちに合っていた。
そういう格好をしていると、なんだか普段よりもずっと若く見える……高校生みたい。
星夜って、実はまだ大学生くらいの年齢なんだよね。
仕事の忙しい有名人だし、高い立場を持っているし。いつも落ち着いた和服を着ているから、ついついもっと大人に思えるけれど。
こういう普通のひとみたいな格好をしていると、年相応に見える。
ちなみに、星夜は幽玄学院の大学部を飛び級で卒業しているらしい。
幽玄学院の大学部は、人間社会でも認められている超エリート大学だ。
この忙しい生活で、どうやってそんなことを成し遂げたのだろう……。
今のカジュアルな格好の星夜とすれ違っても、鬼神族の長の雨宮星夜だとはなかなか気づかれないだろうな。
車は走っていく。
窓の上をちょっとだけ開けてもらった。
潮風が気持ちいい……。
思わず目を細めて、舌を出す。
平日のお台場の道路は空いているとは言えども普通に車が行き交っていて、たまに、犬を乗せている車とすれ違った。
お出かけで嬉しそうな犬。
まさか自分が同じ立場になるとは思っていなかったけどね……。
「いい子だな、おまえは。身を乗り出したりもしない。吠えたりもしない」
私は抗議の気持ちを込めて、短く唸った。
中身が犬なら大人しくていい子だろうけど、私は人間なんだから……。
「実にいい子だ」
星夜の横顔は、どこまでも嬉しそうな笑顔で満ちていた……。
もう、どこまでわかってるんだろう……。
やっぱりちょっと、ため息をつきたい気持ちもあったけれど。
でも……私に甘々な星夜といると、怒る気も失せて、こちらまで気持ちがとろけるようにほぐれていくのも、本当なんだよね。
なんでも、助手席に犬を乗せてドライブするのが長年の夢だったようで……。
普段よりも小さめの車。
星夜のプライベート用の車らしい。普段はあまり使わないけれど、犬カフェなんかに行くときはこの車を使っているんだそうだ。
犬が乗るためのドライブシートも完備されていた。ベッドみたいな形をしたソファで、おすわりすることもできるし、伏せることもできる。
こういうのも隙なく持ってるんだもんな……。
マットレスはふかふかした上質なもので、すっごく気持ちよかった。
現世橋をかけてもらい、星夜と二人でドライブ。
後ろからは暮葉さんはじめ警備のひとたちがついてくるらしいけれど、あまり気にならない。
気を遣って、距離を取ってくれているのだろう……。
星夜は一応変装として、薄いサングラスにカジュアルな格好をしていた。
普段は和服ばかり着ている星夜だけれど、そういう格好も似合う。サングラスも意外なほど、彼の端正な顔立ちに合っていた。
そういう格好をしていると、なんだか普段よりもずっと若く見える……高校生みたい。
星夜って、実はまだ大学生くらいの年齢なんだよね。
仕事の忙しい有名人だし、高い立場を持っているし。いつも落ち着いた和服を着ているから、ついついもっと大人に思えるけれど。
こういう普通のひとみたいな格好をしていると、年相応に見える。
ちなみに、星夜は幽玄学院の大学部を飛び級で卒業しているらしい。
幽玄学院の大学部は、人間社会でも認められている超エリート大学だ。
この忙しい生活で、どうやってそんなことを成し遂げたのだろう……。
今のカジュアルな格好の星夜とすれ違っても、鬼神族の長の雨宮星夜だとはなかなか気づかれないだろうな。
車は走っていく。
窓の上をちょっとだけ開けてもらった。
潮風が気持ちいい……。
思わず目を細めて、舌を出す。
平日のお台場の道路は空いているとは言えども普通に車が行き交っていて、たまに、犬を乗せている車とすれ違った。
お出かけで嬉しそうな犬。
まさか自分が同じ立場になるとは思っていなかったけどね……。
「いい子だな、おまえは。身を乗り出したりもしない。吠えたりもしない」
私は抗議の気持ちを込めて、短く唸った。
中身が犬なら大人しくていい子だろうけど、私は人間なんだから……。
「実にいい子だ」
星夜の横顔は、どこまでも嬉しそうな笑顔で満ちていた……。
もう、どこまでわかってるんだろう……。
やっぱりちょっと、ため息をつきたい気持ちもあったけれど。
でも……私に甘々な星夜といると、怒る気も失せて、こちらまで気持ちがとろけるようにほぐれていくのも、本当なんだよね。