廊下の窓から見上げる空はなんて清々しいんだ。どこまでも青く広がって透き通ってるみたいだ。

なのにオレの心は…


「ダイヤの指輪っていくらするんだろうな…」

「前もこんなシチュエーションなかったっけ?」

隣で太陽が場の雰囲気ぶち壊しで突っ込んできた。

現在、学校の昼休み。
意味もなく外を眺めている。

そしてなぜかその隣には美羽(みう)もいた。


「太陽のクラス、午後の授業なに?」

「えっと、確か数学!美羽は?」

「私音楽、だからそろそろ移動しないとだから行くね!」

「うん、じゃあ…また帰り!」


…すっげぇ違和感だ。

こんな2人見たことない。めちゃくちゃ仲良く喋ってた。

…え、こんな仲良かったっけ?

美羽がばいばいーい!と手を振って自分のクラスに戻っていく。

太陽につられ一緒に手を振ってしまった。

昔はあんなに言い合ってたのに、何があったんだ…?


「いや、彼女出来たって言ったじゃん」


不思議に思って聞いてみると、眉間にしわを寄せた太陽がげんなりした顔で答えた。

聞いてない!オレは聞いてない!
…あれ、聞いたっけ??
そーいえば言ってたような、そんなような…

でもあの美羽と太陽が付き合い始めるなんて、思いもしなかった。

なぜかはぁっと太陽が大きく息を吐いた。


「?」

「碧斗もさ、いつまでも妄想抱いてんなよ」


突然の言葉に思考が止まった。

何を言われてるのかよくわからなかった。

それは一体どんな意味なんだ?

急に何もかも知った素振りで忠告するかのように言って来た。


「現実見たら?」


妄想?現実?

オレはいつだって現実しか見ていないけど。

なんで彼女出来たからってお前にそんなこと言われなきゃいけないんだよ。

太陽にオレの気持ちなんてわからないだろ。