「熱!」

「気を付けろよ、焼き立てなんだからっ」


さっそく食べようとしたあさひが熱々の焼き芋に苦戦してる。それを見て兄貴が濡らしたおしぼりを渡していた。

あと焚火して焼くのかと思ったら家のレンジだった。焼き芋しようなんて言うから、庭でするのかと思っただろ!自宅かよ!

テーブルに座ってただのおやつタイムだった。


「あさひは変わらないな」

「また笑った!」


どうしてにも2人の会話には入っていけなくて、もくもくと焼き芋を食べるだけになってしまう。
あの時のオレンジジュースと一緒で。


「そっか、もうあの指輪も欲しがらないもんな」

「そうだよ、だってもらうなら本物がいいし♡」

「本物?」

「うん、大きなダイヤのついたやつ♡」

「俺の給料じゃあ無理だな~」


…なんだよそれ。
オレもいるのにオレの知らない話するなよっ。

指輪の話なんか…

あさひは兄貴のこと好きだったのかな?

じゃあ、兄貴は…

あさひのことどう思ってたんだろう?


「ねぇ碧斗、サツマイモにバター付けるとお菓子みたいでおいしいよ!」


ぼーっとしてたオレにあさひがバターを見せた。そして有無を言わせないまま、食べかけのサツマイモの上にバターを乗せた。
言われるがまま一口かじった。


「…ほんとだ!おいしい!」

「それはもっと他の言い回しはなかったのか…」

「拓海くんみたいに物知りじゃないの!」


呆れた兄貴を見て、つんっとあさひが横を向いた。

俺は将来絶対いい会社で働こう。

いっぱい稼いで、いつかあさひが喜ぶ大きなダイヤのついた指輪買ってあげる。