ぜーはー、ぜーはー…

無我夢中に走りすぎて、家まで通り越してしまった。しまった、ちょっと力有り余りすぎた…


「疲れた、無理…っ」


息を切らしたあさひがその場にしゃがみ込んだ。


「…碧斗めちゃくちゃだよ!」


乱れた呼吸を必死に整えながら、心配そうな表情でこっちを見た。


「…大丈夫だった?怪我とかしてない?」

「別に、おれはいい。あさひは?」

「私は…何もしてないから」


はぁっと息を吐いたあさひが今度は笑った、困ったように眉をハの字にして。


「碧斗に変なとこ見られちゃったな」


あははって、そんな笑いたくもない笑い方…


「あさひ」

「ん?」


だからあさひの前に立って両手を広げた。

いっぱいいっぱい手を伸ばして、胸を張って。


「泣きたい時は泣けばいい!」

「…え?」

「んっ!」


身長なんて関係ない。

だってすぐに追い越せるから。

でもやっぱ今すぐに…は無理で、だけどこうすればおれだってあさひを抱きしめられることだって出来るんだ。

しゃがみ込み俯くあさひを、ぎゅーっと抱きしめた。