「今日は、カラオケも行っちゃおう!」

 三人で並んで歩いた放課後に見上げた空は、雲一つない青空がどこまでも広がっていた。

 小さい頃からずっと翔ちゃんだけを追いかけてきた。

 それももう今日で終わり。

 十年以上の片想いに、終止符を打つ。

 ……ちゃんと幸せになってよね。

 じゃなきゃ、私が諦めた意味がない。

 立ち止まり、見上げた空。

 どこかで翔ちゃんたちもこの空を見ているのかな。

 明日香さんと二人で。


 私は、ひとりぼっち。私の隣に翔ちゃんはいない。
 だけど、寂しくはない。

 だって、私には心強い味方が二人もいるんだもん。

「美菜、早く早くー!」

 少し前で私を待つ、二人。

「待って!」

 アスファルトを蹴ってそばへと走った。


 翔ちゃん。ほんとに、大好きだったよ。

 初恋を、ありがとう。

 バイバイ、私の初恋──…