「⋯ごめん」

「うん、いいよ」

「痛かった?」

「もう覚えてないよ」


クスクスと、笑う高梨。


「もう、話は終わり?」


イタズラじみた高梨の顔は、小学生の時と、変わらなくて。ずっとずっと、想ってた。



すっと、息を、はく。
心の中で、深呼吸。



「⋯⋯⋯付き合わない?」


夕日がオレンジ色だから良かった。きっと、顔が真っ赤だから。高梨、―――⋯夏帆(かほ)は、声を出しながら笑った後、「うん」と、微笑みを見せてきて。



「さっきはごめん」

「何が?」

「⋯高梨に、言わせて」

「えー、許さないよ」

「え?」

「許してあげるから、遠回りして、帰らない?」


そういった夏帆の顔は、夕日のせいでもなく、赤く頬が染まっていて。