高梨は言う。
小学生の頃、気づけば後ろには僕がいることを分かっていたらしい。毎日のようにいるから不思議がってそれを母親に聞けば、「謝りたいのかもしれないよ?」と言われた事を。


だから、謝れるように、下校のタイミングも、少し俺に合わせていた事も。



中で練習できる吹奏楽部も、僕がサッカーをしている姿を見たいから外で練習していた事も。


「外で練習してたら、影宮の部活が終わって帰るタイミングもだいたい分かるから」って。


だから、机の上に書いたのも、すぐに影宮だって分かったんだと、嬉しそうに言っていて。



「焦らしすぎだよ、影宮」

「⋯⋯うん」


今こそ、謝る、本人の目を見て謝るタイミングなんだろう。


やっと、の、謝罪。