小学生の時、体育の時間。
ドッチボールの最中。
ワザとじゃないけどボールがキミの顔に当たった。結構、勢いのあるボールだった。
痛くてびっくりして顔をおさえるキミに、同級生の女の子が近寄っていく。
「影宮(かげみや)さいてー」
女の子の顔に、ボールを当てるとか。
「悠史(ゆうし)、謝れよー」
男子は、やっちまったなあと、笑い。
その子の鼻からは、血が出ていた。
気が動転していて、最低最低と同級生の女の子から言われる俺は、背中を見せて保健室は向かっているキミに謝ることが出来なかった。
さい、あくだ。
お母さんに言われてたのに。
女の子には怪我させてはいけないって。
謝ろう。「さっきはごめん」って。
そう思って放課後、3人並んで帰っている、女子3人組のあとを追いかけた。オレンジ色の夕日に向かって帰るキミに、謝ろうと思うのに。
許してくれなかったらどうしようとか。
男子である僕が女子に話しかけるのが、恥ずかしくて。
また「最低」と言われたらどうしようって思ったら、追いかけて謝ることが出来なかった。
だから、キミが絶対に聞こえない距離で呟いた。
「さっきはごめん」
聞こえてないキミは当然のように夕日で光るオレンジ色の背中を見せるだけ。
明日、謝ろう。
そう心に決めてその背中を見送った。
―――僕は、逃げたのだ。
ドッチボールの最中。
ワザとじゃないけどボールがキミの顔に当たった。結構、勢いのあるボールだった。
痛くてびっくりして顔をおさえるキミに、同級生の女の子が近寄っていく。
「影宮(かげみや)さいてー」
女の子の顔に、ボールを当てるとか。
「悠史(ゆうし)、謝れよー」
男子は、やっちまったなあと、笑い。
その子の鼻からは、血が出ていた。
気が動転していて、最低最低と同級生の女の子から言われる俺は、背中を見せて保健室は向かっているキミに謝ることが出来なかった。
さい、あくだ。
お母さんに言われてたのに。
女の子には怪我させてはいけないって。
謝ろう。「さっきはごめん」って。
そう思って放課後、3人並んで帰っている、女子3人組のあとを追いかけた。オレンジ色の夕日に向かって帰るキミに、謝ろうと思うのに。
許してくれなかったらどうしようとか。
男子である僕が女子に話しかけるのが、恥ずかしくて。
また「最低」と言われたらどうしようって思ったら、追いかけて謝ることが出来なかった。
だから、キミが絶対に聞こえない距離で呟いた。
「さっきはごめん」
聞こえてないキミは当然のように夕日で光るオレンジ色の背中を見せるだけ。
明日、謝ろう。
そう心に決めてその背中を見送った。
―――僕は、逃げたのだ。