もう委員長になると決めたら、それなりのことはやっていかないといけない。何事も時間の余裕は大切だ。
「じゃ、委員長立候補の人は集まってー」
その声と一緒に私も呼ばれたところへ向かう。さっきから学級委員、班長などが集まり先生の話を聞いていた。なんの話をしているのか少し気になった。
集まったのは、この組だけで七人。二組も何人かいると思うからあとで静葉に聞いてみよう。
「えーと、まず!委員長に立候補してくれてありがとう。この中のみんなだったら誰になっても任せられるよ。」
周りの子は、明るくてクラスのムードメーカー的な存在の子から、静かだけどみんながやらないようなことを自分からやってくれる優しい子、仕切るのが得意なリーダーシップ系の子などみんな確かに任せられるような子ばかり。そんな時ふと考えた。今あげたタイプも含め、私の取り柄はなんだろう。そもそも取り柄があるのかどうか。先生が私を推薦してくれたわけは?確かに私は運動も勉強もそれなりにできるけれどもっと他の『自分だけの』個性はないのかな。自分で見つけられないんだったら人に聞いてみるのがいいかもしれない。静葉に聞いてみよう。
先生から、委員長立候補にあたっての詳細と心構えをひたすら聞かされた後、もう下校時刻だったので静葉が出てくるのを待った。
しばらく待って静葉が玄関から出てきた。でも隣には友達がいてこちらに気がついて手を振ってくれたけど止める間もないまま行ってしまった。
やっぱり静葉は明るいから友達も多いし、勉強も出来るから毎日大変なのかも。それに、今日じゃなくてもいつでも聞けるし。明日の朝また聞いてみよう。
少し残念な気持ちで家に帰った。

家に帰って諸々終わらせたところで、先に委員長の意気込みを書くことにした。リーダーを決めるのは言った通り投票なので私たちは体育館で学年全員に向かって話さなければならない。それが一番の難題だった。この性格上かなりの勇気がいる。こういう場合女子は大体声が小さいからそんな見方を変えてやりたい。私はそんな人でありたいのだ。弟は普通が一番というけれど私は逆にみんなに埋もれている『普通』があまり好きではなかった。
そして、自信を持って話すにはやはり原稿が重要になってくる。これがうまくいかないと少なくとも私は自信が持てないまま終わってしまう。自分をアピールしなくちゃ。
それから、自分だったらどういう委員長がいたら嬉しいだろうと考えたり、いかにみんなに賛成してもらえるかを考えた末に書きたいことは二つ。
一、委員会を楽しんでもらえるようにすること。
二、退屈されないように積極的に雰囲気を作っていくということ。
この二つに決まった。みんなは、「積極的に」とか「協力して」のようなことを言うだろうから自分はそれ以外にしようと思ったのだ。今までにないような原稿になると思うがこれにかけたいと思う。
勝負は明日。絶対やってやる!