「クソがぁっ! 離しやがれ!!」
「ちょっ痛いって! 優しくしてよ!!」

 アグリとジュリアだ。ふたりとも鉄の鎖で四肢を縛られ、ガッシリと動きを封じられている。鎖には幾何学的な文様が刻まれていて、それが怪しい光を放っていた。シホの持つ〈属性付与〉スキルだ。これを使用した物体に魔法をかけると、その魔法の属性が物体に付与される。鎖には『封印』の属性が付与され、二人はスキルや魔法による抵抗が不可能となっていた。

 あとは首魁のオクト一人。

「まだだっ! 僕はこんな所で終わらないっ!!」
「ぐうっ!!」
「シャリポ殿!?」
「シホ! この裏切り者ォっっ!!!」

 シャリポとシホが二人でオクトと剣を交えている。

「うおりゃあっ!!」

 いつのまにかマコトも北の大陸から駆けつけていた。オレたちの陣に顔を出すより先に、オクトとの戦いに突っ込んでいったらしい。さらに軍師役のシランも前線に出張り、攻撃魔法で支援する。

「雑魚がっ!」

 4対1で尚もオクトが圧倒していた。

「オクトォッ!!」

 俺は精一杯の声を張り上げて叫ぶと、その場の全員の目がこちらに向き、戦いの渦が一旦静止した。

「……ラスボス登場ってワケか、大賢者サン」