* * *
聖石から発せされた光が、陽の沈んだ空を満たす。すると、輝き始めたばかりの星の光が強くなったように見えた。いや、見えたではない。間違いなく明るさが増している。そして……
「あっ」
誰かが小さく叫んだ。ひとつの星の輝きがぼんやりと形を変え始める。光の玉から、手や足が生え、やがて発光する人間の形になった。手には盾と槍を持ち、頭には兜をかぶっている。兵士の姿だ。そこまでわかるほど、星の光はくっきりとした像になっていた。
そして他の星々も姿を変え始める。最初の星のように兵士の姿をするものもあれば、馬の形をなすもの、あるいはドラゴンのような長い首と尻尾と翼を持つ怪物もいる。そして、星の光が生み出した兵士と怪物は動き出し、夜空いっぱいに大戦闘が始まった。
「これは……」
脳裏に浮かんだのはオレたちの世界の星座だった。たしか、多くの星座はギリシャ神話をもとにしていたはずだ。神話の世界の神々や英雄、怪物が、今もなお夜空を舞台に壮大な物語を演じている……小学校の課外授業で、プラネタリウムを見た時にそんな解説があった。
そうだ! 今見ているのは、あのときのプラネタリウムのプログラムに似ている。星を線で結んだ星座の姿からCGのオリオンやサソリが浮かび上がり動き出す。それと似ていた。
「この世界の神話? もしそうなら……」
はっとしたオレは、胸元をまさぐる。無い。初耳の異世界語をメモるために、メモ紙とペンをもっている。が、今に限って図書館に置きっぱなしのようだ。
「ゲンさん、ゲンさん」
後ろから声をかけられる。振り返ると、アツシが携帯用の墨壺付きのメモ帳とペンを手にしていた。
「僕がメモしておきます。」
アツシも同じことに気がついたらしい。空ではいつのまにか怪物と兵士の戦いが終わり、王様らしき姿の光が、勝利した兵士をたたえている。この星の物語はあの本を読み解くヒントになる。そう直感していた。
聖石から発せされた光が、陽の沈んだ空を満たす。すると、輝き始めたばかりの星の光が強くなったように見えた。いや、見えたではない。間違いなく明るさが増している。そして……
「あっ」
誰かが小さく叫んだ。ひとつの星の輝きがぼんやりと形を変え始める。光の玉から、手や足が生え、やがて発光する人間の形になった。手には盾と槍を持ち、頭には兜をかぶっている。兵士の姿だ。そこまでわかるほど、星の光はくっきりとした像になっていた。
そして他の星々も姿を変え始める。最初の星のように兵士の姿をするものもあれば、馬の形をなすもの、あるいはドラゴンのような長い首と尻尾と翼を持つ怪物もいる。そして、星の光が生み出した兵士と怪物は動き出し、夜空いっぱいに大戦闘が始まった。
「これは……」
脳裏に浮かんだのはオレたちの世界の星座だった。たしか、多くの星座はギリシャ神話をもとにしていたはずだ。神話の世界の神々や英雄、怪物が、今もなお夜空を舞台に壮大な物語を演じている……小学校の課外授業で、プラネタリウムを見た時にそんな解説があった。
そうだ! 今見ているのは、あのときのプラネタリウムのプログラムに似ている。星を線で結んだ星座の姿からCGのオリオンやサソリが浮かび上がり動き出す。それと似ていた。
「この世界の神話? もしそうなら……」
はっとしたオレは、胸元をまさぐる。無い。初耳の異世界語をメモるために、メモ紙とペンをもっている。が、今に限って図書館に置きっぱなしのようだ。
「ゲンさん、ゲンさん」
後ろから声をかけられる。振り返ると、アツシが携帯用の墨壺付きのメモ帳とペンを手にしていた。
「僕がメモしておきます。」
アツシも同じことに気がついたらしい。空ではいつのまにか怪物と兵士の戦いが終わり、王様らしき姿の光が、勝利した兵士をたたえている。この星の物語はあの本を読み解くヒントになる。そう直感していた。