センディとイーズル、そしてアマネの3人だけは村に戻ることになった。サスルポに囚えられていたセンディは体力を消耗しており、これ以上山の中を連れ回すにはいかない。

「イーズル こいつを たのむ」
「ああ おれが こいつと アニーラを しあわせにする おまえのかわ……ガダー!!」

 『ガダー』は日本語に翻訳すると"痛い"だ。どさくさに紛れて、アニーラを娶ろうとしたイーズルにキンダーは強烈なパンチをお見舞いした。

「ゲン……」

 弱々しい声で、センディがオレに話しかけてきた。

「ごめん こんなことに…… おれ ゲンの やく たちたくて……」
「わかってる せいせき かならず もちかえる」

 オレはセンディの頭をポンと軽く叩いた。

「アマネ、みんなをよろしく」
「うーん、不服ですけど……センディのことも心配だしなぁ」

 アマネはため息交じりに言った。

「われが せいいきの ばしょ しられては ならない」

 シャリポは、アマネが〈足跡顕化〉を使用する瞬間を見逃さなかった。これから何処へ連れて行かれるかわからない。だからアマネは来た道をいつでも引き返せるよう、メンバー全員にスキルを使おうとしていたのだ。

「すぐに スキルを かいじょ さもなくば」

 シャリポは右手の上にあの赤い光を発生させる。

「わかった! わかりましたよ!!」

 アマネが指をパチンと弾くと、オレたちに発動していたスキルは解除され、足跡が光ることはなくなった。そしてこの先に彼女が進むことは許されなかった。