「おはよー」
「おはよー」
まだまだ蒸し暑さが続く、9月。
新学期の始まった朝の学校は、生徒の笑顔で溢れ返っていた。
「杏おはよー」
「おはよー」
この騒がしさが嫌で、時間をずらし、毎日遅刻していたのは数ヶ月前までのこと。
下駄箱を開けると、中にはいつものアールグレイと手紙。新学期が始まっても、それは毎日届いていた。
「ん?」
いつもと様子が違う。アールグレイに真っ赤なリボンがかかっている。
そして……。
『Happy birthday to you』
手紙にはそう書いてあった。
そっか、今日は私の誕生日だ。嬉しい。
これくらいの文章なら、訳してもらわなくても分かるのになぁ。
くすくす、私は手紙を読みながら、笑った。