地下に取り残された男二人も、ミリアたちの気配が消えるとそわそわしはじめた。
「なあ、よお、こんなところにいるのは俺はいやだぜ」
「そりゃあそうよ。松明さえつけておけば、ここにいることもあるめえよ」
「だよな。どうせ一週間も持たねえだろうから、その頃に見に来ればいいよな」
エレナは二人に声をかけた。
「あなたたちにお願いがあります」と、背中を向けて鉄格子に押しつけた。「せめて縄をほどいてくれませんか」
男たちは顔を見合わせてから首を振った。
「それはいけませんぜ。逃げ出されたらあっしらが死刑ですよ」
「いくら両手が使えてもこんな頑丈な鍵を壊すことはできません」
背中を押しつけたまま顔だけ向けて説得してみても、それでも疑いの目を向けている二人に、エレナは手の指を伸ばして見せた。
「この指輪をあなたたちに差し上げましょう」
それは亡き母の形見だった。
松明の炎で照らされて輝くサファイアを見て男たちの表情が変わった。
「いいんですかい?」
「かまいません。もうわたくしには必要のないものです。おまえたちの生活の足しにするといいでしょう」
「それじゃあ、遠慮なく」
二人はエレナの手を押さえて指輪を抜き取った。
「では縄をほどいてくださいな」
ところが男たちは松明の炎をすかしながら宝石の輝きを見つめているばかりで、いつまでもほどこうとしない。
「何をしているのですか」
「へへへ」と、片方が下卑た笑みを浮かべる。「どうせこのまま死ぬんだから、縛られてたって同じじゃねえですか」
「なっ、そんな」
もう一人が鉄格子の間から手を入れてエレナのドレスをつかむ。
「それよりよ、相棒」
「おう、なんでえ」
「どうせ、このお嬢様、ここで死ぬんだからよ。ちょいと俺たちで味見させてもらったっていいんじゃねえかい?」
「おう、なるほどな」
「へへへ、高貴なお嬢様だぜ。こんな幸運めったにないからな」
「役得ってもんだな」
エレナはとっさに鉄格子から離れて振り向いた。
「あ、味見とは、どういうことですの?」
「おやおや、お上品なことぬかしてやがるぜ」と、男たちはかえって興奮しているようだった。
「本当は全部知ってるくせによ」
「ま、いいさ、俺たちがかわいがってやるぜ」
二人ともいきなりベルトを外し、ズボンを下ろした。
扉に手をかけたところで、片方がつぶやく。
「おい、でもよ、鍵がないぜ」
自由を阻むはずの鉄格子が今は自分を守ってくれていた。
「おう、そうか。上から取ってこようぜ」
ズボンを下ろしたままあわてて歩こうとして足が絡まっている。
「おいおい、馬鹿だな。まずはその粗末なモノをしまってからにしろよ」
「へっ、おまえだってそうだろうがよ」
二人はゲラゲラと笑いながら牢屋から離れていく。
「なあ、よお、こんなところにいるのは俺はいやだぜ」
「そりゃあそうよ。松明さえつけておけば、ここにいることもあるめえよ」
「だよな。どうせ一週間も持たねえだろうから、その頃に見に来ればいいよな」
エレナは二人に声をかけた。
「あなたたちにお願いがあります」と、背中を向けて鉄格子に押しつけた。「せめて縄をほどいてくれませんか」
男たちは顔を見合わせてから首を振った。
「それはいけませんぜ。逃げ出されたらあっしらが死刑ですよ」
「いくら両手が使えてもこんな頑丈な鍵を壊すことはできません」
背中を押しつけたまま顔だけ向けて説得してみても、それでも疑いの目を向けている二人に、エレナは手の指を伸ばして見せた。
「この指輪をあなたたちに差し上げましょう」
それは亡き母の形見だった。
松明の炎で照らされて輝くサファイアを見て男たちの表情が変わった。
「いいんですかい?」
「かまいません。もうわたくしには必要のないものです。おまえたちの生活の足しにするといいでしょう」
「それじゃあ、遠慮なく」
二人はエレナの手を押さえて指輪を抜き取った。
「では縄をほどいてくださいな」
ところが男たちは松明の炎をすかしながら宝石の輝きを見つめているばかりで、いつまでもほどこうとしない。
「何をしているのですか」
「へへへ」と、片方が下卑た笑みを浮かべる。「どうせこのまま死ぬんだから、縛られてたって同じじゃねえですか」
「なっ、そんな」
もう一人が鉄格子の間から手を入れてエレナのドレスをつかむ。
「それよりよ、相棒」
「おう、なんでえ」
「どうせ、このお嬢様、ここで死ぬんだからよ。ちょいと俺たちで味見させてもらったっていいんじゃねえかい?」
「おう、なるほどな」
「へへへ、高貴なお嬢様だぜ。こんな幸運めったにないからな」
「役得ってもんだな」
エレナはとっさに鉄格子から離れて振り向いた。
「あ、味見とは、どういうことですの?」
「おやおや、お上品なことぬかしてやがるぜ」と、男たちはかえって興奮しているようだった。
「本当は全部知ってるくせによ」
「ま、いいさ、俺たちがかわいがってやるぜ」
二人ともいきなりベルトを外し、ズボンを下ろした。
扉に手をかけたところで、片方がつぶやく。
「おい、でもよ、鍵がないぜ」
自由を阻むはずの鉄格子が今は自分を守ってくれていた。
「おう、そうか。上から取ってこようぜ」
ズボンを下ろしたままあわてて歩こうとして足が絡まっている。
「おいおい、馬鹿だな。まずはその粗末なモノをしまってからにしろよ」
「へっ、おまえだってそうだろうがよ」
二人はゲラゲラと笑いながら牢屋から離れていく。