シャッターを開けて、
簡単に掃除をする。
駄菓子屋の店内は
什器が残されていて、
とりあえずの駄菓子を入れると
まるで、
昔に戻ったみたいになる。

「さてと、番台にPCを置いて、
電気屋を呼ぶか!電気の容量と
ネットワーク繋げないとね。」

わたしは、
番台の横に描けてある電話帳を
開いて、台にある
黒電話をダイヤルする。

すると、
外から三味線の音色が聞こえて
きた。

「キョウカちゃん、起きたな。」

わたしは、ダイヤルを止めて
暫く三味線の音に、聞き入った。

キョウカちゃんの三味線は
子供の頃からも聞いていて、
懐かしくて、
すごーく 落ち着く。

目を綴じていると、

店の引戸が開く音がした!

慌てて目を開けると、
どこか見覚えのある顔かある。

「あー!電気やか!!」

そこに佇んでいたのは
丁度ダイヤルをしようとした
電気屋の息子。

留守番をしていたら
よく、この駄菓子屋に来ていた、
ひょろひょろイガグリ頭の
男の子だ。った。

「おっさんになってる、、」

思わず口から思考が只漏れに
なっていたらしい、

「お前、誰がオッサンだ?てか
こっちに住むやってな。向かい
ん女将が電話くれたわ。電気
見たってくれってよ。積んで
来たから、電球とか変えるぞ」

電気屋は
無愛想にいいながら、
慣れた様にスイッチをつけて、
駄菓子屋の天井を指差す。

そこにはチカチカと点滅する
電灯が幾つかあった。

「さすが!女将すごい!電話
するとこやったんよ。ちょい
電気の容量を見てくれへん?」

祖母の話では、
この電気屋も未だ独り者だ。
集落から外に仕事へ出ていれば
違っただろうに、
集落で唯一の電気屋は
水道やガスも面倒をみている。
なかなか
個人的な出会いも融通も
つかないとか。

「ん。ほなら、ブレーカー
見てくるけど、絶対変えな
いかんやろな。PCら、使うん
やったら、ここ古いからな。」

電気屋は、スニーカーを脱いで
店の奥に上がる。
店舗兼住居だから、
奥は祖母が住んでいた部屋が
続く。

「あれ、キョウカの三味線か?
機嫌よさそうやな。さすがに」

電気屋は、工具を手に何気なく
わたしに聞いてきた。

「わたしも久しぶりに聞いた
よ。そりゃ、そうか!もう
随分こっちに来てなかったし」

いいながら、
電気屋にカレーの煎餅を渡す。

電気屋がいつも買う駄菓子。

「よう覚えてんな、お前。
ほな、中に失礼するでよ。」

カレー煎餅を昔と変わらない
仕草で口に咥えて、
電気屋はブレーカーを見に消えた

「はあー。
もうちょいしたら、キョウカ
ちゃんも顔出してくれっかな」

独り言をいいながら
ホームから送られた
懐かしい香りする祖母の手紙を
鞄から出す。

急に亡くなった祖母だけれど、
何か虫の知らせがあったの
だろう。

消印は、亡くなる一週間前が
押されていた。