俺達はその後、フードコートのそばで奈緒と美和と合流することになった。
「写真送られてきた。あいつらクレープ食ってるみたいだな」
合流地点に向かっている途中、零次がスマフォを見ながらそんなことをいってきた。
「え? アイス食べたのに?」
眉間に皺を寄せて、俺は尋ねる。
「ああ。甘いものは別腹ってよく言うからな。ほら」
零次はそう言って、スマフォ画面に表示されている奈緒と美和の写真を見せてきた。
奈緒と美和は本当にクレープを食べていた。
どうやら、奈緒はいちごのケーキが入ったクレープを食べていて、美和はガトーショコラが入ったクレープを食べているらしい。
俺はそれを見て、零次といったスイパラを思い出した。
スイーツ、食べたいな。さっきのアイスよりかなり重そうだし、今の俺が食べるのはちょっと無理だけど。
「……吐く心配がなかったら、俺も食べたかったかも」
「本当か? 小食のお前が言う台詞とはとても思えないな?」
「……最近、食生活が変わったから」
「へえー? 誰のおかげで?」
にやにやと笑って、零次は言う。
こいつ、タチが悪い。だれのおかげかわかってるくせにいってやがる。
まるで俺に感謝されたいとでも言っているみたいだ。
「……零次のおかげ」
策略に乗るのが癪で、俺は小さな声で言葉を返した。
「クッ。声小せぇな!」
零次は喉を鳴らして笑った。
「うるさい」
俺は恥ずかしくなって、零次から目を逸らして、暴言を吐いた。
「はいはい」
零次は俺の照れ隠しの暴言を笑いながら流した。
俺達はそれから辺り触りない話をしながら歩いて、合流地点に行った。
「おっそーい二人とも! クレープ食べ終わっちゃったよ!」
合流地点にいくと、奈緒が不満げに頬を膨らませて、俺の背中を叩いてきた。
「本当よ。三十分も待たせないで」
奈緒に続けて美和もそんなことをいってくる。
どうやら二人ともだいぶすねているらしい。
「ごめんね、奈緒ちゃん美和ちゃん! 電話長引いてさ」
零次は慌てて謝罪をする。
「……待たせてごめん。ちょっとゆっくり歩いてた」
俺も慌てて頭を下げた。
「……別にいいわよ。ただし、タピオカ奢ってくれたらね! でしょ? 奈緒」
「うん! 沢山スイーツ食べたからのど乾いたし、タピオカ飲みたい!」
美和の提案に、奈緒は元気よく頷いた。