「アンタに褒められても嬉しくない」
「俺の扱いひどくない?」
「はいはい。ごめんね」
 肩を落とす零次に、美和は棒読みで言葉を返した。
 凄い雑だ。
「……仲良いな」
「どこがだよ!」「どこがよ!」
 俺の言葉に、零次と美和は声を揃えて突っ込んだ。息がぴったりだ。
「アハハ! めっちゃ仲良いじゃん! ね? 海里くん」
 アイスを食べ終わった奈緒は、笑って俺の言葉に賛同した。
「そうだな」
 俺は奈緒の言葉に笑いながら頷いた。

 プルルルル! 

 奈緒を除く三人がアイスを食べ終わったころ、急に零次のスマフォが音を立てた。
「悪い。俺、ちょっと外すわ。さきバイキングとか乗り物のってていいよ。すぐ追いつくから」
「わかった! じゃあ電話終わったら連絡してね。行こう? 美和、海里くん」
「……いや、俺、零次待ってるよ。乗り物乗ってまた吐いても困るから」
「あ、そっか。じゃあ二人で先に行ってるね。ついでにごみも捨てとくね」
 奈緒はそう言うと、空になったアイスのゴミを俺と零次から回収して、自分のも一緒に紙袋の中に入れた。
 美和は無言で奈緒の手から紙袋を奪うと、その中に自分のアイスのゴミを入れた。
「あっ、ありがとう」
「ん。とっとと行くわよ」
「美和待ってー」
 ゴミ捨て場に向かう美和を、奈緒は慌てて追った。

「海里、もしかして気ぃ遣ってくれた?」
 二人がいなくなると、零次は首を傾げて聞いてきた。
「それもあるけど……乗り物乗って吐いたらやだと思ったのも本当。電話出なくていいのか?」
「ああ、出る。ありがとな」
 俺の言葉に頷くと、零次は電話に応じてから、トイレの方に行った。
 ベンチに座って待っていると、零次は十五分くらいしてから、憂鬱そうな顔をして戻ってきた。結構電話が長かった。
「電話誰?」
 零次が暗い顔をしてるのが気になって、俺はついそう尋ねてしまった。
 もしかしたら、あまり聞きたくないことかもしれないのに。
「あー親父。週に一回は電話くるんだよ。……意外と俺のこと気にしてくれてんの」
 髪をいじりながら、目じりを下げて零次はそう言った。