数時間後。
「「ありがとうございましたー」」
 俺達は配達員の人に声を揃えて礼をいってから、届いたソファをテーブルの前に置いた。
「さて、海里、何のゲームする?」
 そう言うと、零次はベッドの下から、紫色のカゴを取り出した。
 カゴの中には、赤と青の色をした両サイドをコントローラーにして通信をすることができるスイッチと、スイッチドックと、スイッチをテレビにつなげるコードと、十個くらいのスイッチのソフトが入っていた。
 ソフトはどうぶつの森、大乱闘、ピクミン、ポケモン、マリオパーティなど、横道なものばかりだ。
「んー、大乱闘」
「本当にそれでいいのか? 俺、キャラ全部解放してるし、結構強いけど」
 零次がにやにやと笑う。えらく得意げだ。どうやら、相当自信があるらしい。
「いい。でも、二人でじゃなくて、コンピューターもいるのがいい」
「おっけー。手加減はしないからな?」
「うん。しなくていい」
 俺がそう言うと、零次はスイッチをテレビにつなげて、大画面で大乱闘ができるようにしてくれた。
「海里、ただ戦うだけじゃつまんねぇし、何かかけようぜ」
「え。何かけんの?」
「負けたら、俺とピザ半分ずつ食おうぜ」
 丸いのを半分ずつか。俺を太らせるのが目的か?
「勝ったら?」
「俺が多めにピザ食うよ。海里は食べられる分だけ食べればいい」
「アハハ! 俺が勝っても負けてもピザ頼むのか? 意地でも食わせる気かよ?」
 俺は声を上げて笑った。
「うっせ。いいからやるぞ」
「わかった」
 俺は歯を出して笑って頷いた。

 零次が対戦形式を四人で戦うのに設定すると、キャラクターを選択する画面に切り替わった。
『レデイ、ゴー!』
 キャラクターとステージを選ぶと、機械音が響いて、対戦が始まった。
 俺は対戦が終わると、コントローラーをぎゅっと握りしめた。
 悔しい。零次が強すぎて、歯も立たなかった。
「海里、お前弱すぎなんだよ」
 零次は笑いながら言った。
「うっさい! やるの初めてなんだからしょうがないだろ! むしろ、零次が強すぎなんだよ!」
 俺は零次を睨みつけて、投げやりに言い返す。
「アハハ! まぁ、それもそうか。俺はゲーム好きの女とかとよくやってたからな」
「ふーん」
 ゲームができる環境にいたのが羨ましいと思ったけど、口に出さなかった。

「……海里、ピザ何頼む? 一枚で四種類食えんのとかにするか?」
 零次はテーブルの上にあったスマフォを拾い上げると、ピザの店を検索して、店のHPに搭載されているメニューを俺に見せた。
「え? そんなのあんの?」
「ああ。このクワトロってやつ」
 零次のスマフォには、本当に四種類の味を楽しめるピザが表示されていた。味はカルビとシーフードとBBQとマルゲリータだった。
「これにする!」
「了解! ちゃんと半分食えよ?」
 元気よく返事をした俺を見て笑いながら、零次はピザを注文する。
 ピザは三十分くらいで届いた。
 俺と零次は会計を済ませて店員に礼を言うと、すぐにピザの入った箱をテーブルの中央まで運んだ。零次は飲み物と皿を箱の周りに置くと、俺の肩を叩いた。