「クク。海里、いつまで迷ってんだよ。俺が選んでやろうか?」
 零次が俺を見ながら、可笑しそうに喉を鳴らして笑う。
 零次が持っている皿には、一口サイズのイチゴのケーキや抹茶のケーキなど、十種類のケーキが乗っていた。

「え? 零次、それ全部食うの?」
 いくらなんでも、スイーツ多すぎやしないだろうか。
「食うけど?」
 零次は俺の言葉に当たり前だとでも言わんばかりに頷いた。
 大食いだ。俺にはとても真似できない。
「……凄いな。俺はその半分でも多いくらいなのに」
「別に凄くねぇよ。お前も、いつか俺くらい食べれるようになるよ」
 零次は俺の背中を腕で叩いて、楽しそうに笑った。
「……本当に、なれる?」
「おう。つか、俺がそうさせるよ。拒食症みたいに細い身体のお前を、俺が太らせる」
「うん!」
 俺は心の底から笑って頷いた。
 俺はその後、四種類くらいのスイーツを選んで、零次とテーブルを挟んで向かい合わせに座ってスイーツを食べた。スイーツは、とても甘かった。

 翌日。
 零次のベッドで寝ていた俺はスマフォの通知音を聞いて、目を覚ました。
 枕元にあったスマフォを起動すると、母さんからラインがきていた。
『海里の鞄とか服送るから、零次くんの家の住所教えてくれない?』
 どうやら、必要なものを送ってくれるらしい。気が利いている。
「おはよう、海里。何見てんだ?」
 ベッドの隣にある寝袋で寝ていた零次が起きて、俺のスマフォを覗き込む。
「あ、零次。おはよう」
 俺はラインの返信をうちながら、挨拶を返した。
「ちぇ。あーあ。今日買い物行く必要なくなったなー。つまんねぇの」
 零次は俺の顔を見て、わざとらしいくらい残念そうにしょぼくれた。
「……零次、俺、零次とソファに並んで座ってゲームしたりテレビ見たりしたい。……ソファ、今日届くんだろ?」
「おう! じゃ、今日は家で思いっきり遊ぶか!」
「うん!」
 俺は笑って頷いた。