「はぁ……」
 三分くらい走ると、前方に人気のないトンネルが見えた。
 俺は車が来たりしなそうなのを確認してからトンネルの中に入り、壁によりかかった。
 ぬいぐるみが入ってない方のポケットからスマフォを取り出し、自殺スポットと検索をかける。
 一番上にある『自殺の名所』という記事をクリックしてみると、福井や和歌山にある崖や、人気の少ない林など、様々な場所が書かれていた。

 ……崖か。
 確かにそれなら死ねそうだよなぁ。

 俺はポケットから父さんの財布を取り出し、中に入っている金を数えた。
 五千円札が一枚しかない。
 この金でどこまでいけるんだ。……江の島くらいまではいけるだろうか。
 試しに乗り換えのアプリで江の島までの交通費を調べてみると、片道千円程だった。
 ……そんなに金掛からないんだな。

 江の島に崖はあるのだろうか。

 スマフォで江の島の崖と検索すると、昔そこで稚児の白菊が身投げをしたのが由来で、稚児が縁という名前がついている崖が出てきた。だが、出てきた画像を見ると、崖は封鎖されて登れないようになっていた。
 まぁそうだよなぁ……。そこで実際に自殺した人がいるんだから、当然封鎖するよな。
 それによく考えたら江の島って観光地だから人多いし、自殺しに行ったら誰かに止められるんじゃないか? じゃあダメだな。
 そもそも海自体人が多いだろうし、止められないようにするためには、海でない方がいいかもなぁ。
 それなら橋とかでどうだろうか。
 いや、こんなに怪我してると、万が一飛び降り防止の柵があった場合それを飛び越えられないし、難しいか。それなら深夜とか早朝の比較的人が少ない時間帯に海に行って、身投げでもしてみるか?
 ……それが一番いいかもしれないなぁ。
 でも江の島とかの関東の海だと電車でいかないとだから、どっかで朝まで待つハメになるよな。もうとっくに終電の時間は過ぎてしまったし。
 何かないか……。
 今から一、二時間くらいで海に着く方法……。