「画面の上の方に、撮ったプリの一覧みたいなのがあるだろ? そこにあるのの中から、ラクガキされてないプリを選ぶんだよ。そんで、例えばラクガキの項目からスタンプを選択したら、日付とか一言とかの項目が出てくるから、そこからまた選択して、好きなデザインを選んでプリのスタンプをやりたいとこに置けばいい。そんだけ」
 画面を指さしながら、阿古羅がやり方を教えてくれる。 
 俺は阿古羅にいわれた通りラクガキがされてないプリを選択して、スタンプの日付の項目を選んだ。
「……色々あるな」
 日付の項目には、丸文字やゴシック体で日付がかかれたのや、ハートの真ん中に日付がかかれているのなど、さまざまなものがあった。
「これとか、可愛くていいんじゃない?」
 俺の後ろで画面を見ていた咲坂が、ピンク色のハートの中に白い丸文字で日付がかかれているスタンプを指さす。
「……わかった」
 俺はタッチペンを操作して、そのスタンプをプリの真ん中あたりに置いた。
「で、できた」
 思わず声が漏れた。これじゃあ幼い子供みたいだな。
「ほら、簡単でしょ?」
 咲坂が俺を見ながら、楽しそうに笑う。
「……うん」
 作り笑いをして、俺は頷いた。
「じゃ、どんどんラクガキするか? 海里」
「うっ、うん」
 戸惑いながら俺が頷くと、阿古羅はとても嬉しそうに笑った。
 それから二分もしないうちに俺達はラクガキを終え、分割数を選択し、奈緒と零次がメアドを入力して保存するプリを選んだ。

「海里くん、ほら、出てきたよ」
 咲坂が機械から出てきたプリをとって、俺に見せる。
 ラクガキがちゃんと間違いなく印刷されている。……綺麗だ。

「あたし、そこで切ってくるね! 美和一緒に行こ!」
 テーブルの上にハサミが置かれているところを指さして、奈緒は言った。
「はいはい」
 茅野は適当に頷いて、咲坂と一緒にテーブルがあるとこまで歩いた。
「はい、これ!」
 咲坂が戻ってきて、俺と阿古羅に四等分にしたプリを一枚ずつ渡す。
「……ありがとう」
 俺は咲坂に礼を言って、プリを受け取った。
「さんきゅー、奈緒ちゃん」
 阿古羅はウィンクをして礼をいった。
「チャラい」
 咲坂の隣にいる茅野は、阿古羅を見て、とても嫌そうな顔をした。
「ええー! 美和ちゃんひどくねぇ?」
「だって事実でしょ」
「それだいぶ心外なんだけど!?」
 茅野の冷静な言葉に、声を上げて阿古羅は突っ込んだ。
 何だか漫才みたいだな。