スノーダンプがない代わりに、この国では手押し車に雪を乗せて運ぶのが一般的なようで、離れた場所に積もった雪は、そこにシャベルで大量に積んでは水路まで運んで放り込むというやり方をしている。
ともかく、私もその方法に慣れようと、この2ヶ月間必死に頑張った。これといった特技もない私には、ウェイトレスとしての業務の他には、これくらいしかできることが無かったからだ。
それに、あの時のレオンさんの人を食ったようなにやにや笑い。思い出すたびいらいらする。あの人絶対ドSだな。
なんとしてもあの失敗を挽回しようと努力した甲斐あってか、今ではなんとかスノーダンプ無しの除雪作業にも慣れてきた気がする。その代わりに重いシャベルのせいでものすごく疲れるのだが。
雪掻きのために外へ出ようと扉を開けた私は、吹きぬける風に思わず身を縮める。亜人になってから、なぜか寒さに弱くなったような気がする。これも猫ゆえの性質なのだろうか。もしも犬系の亜人だったら、雪の中を喜んで駆け回るようになっていたのかな。
そんな事を考えながら外に出ると、すでに準備万端のレオンさんの姿を見つけた。