「それでは、今日のフリー部活動は粘土で林檎を模刻したいと思います! ひゃっほーう! ビバ・アップル!」
放課後の美術室で、星乃は拳を振り上げながらテンション高く宣言する。どうでもいいが「ビバ」はイタリア語だが、「アップル」は英語だ。
もちろん今日も蜂谷先生に入部届を提出しに行ったのだが、やはり受け取って貰えなかった。また文字が気に入らないだとか理不尽な理由で。
けれど星乃はもう慣れているのか、それとも昨日のパンケーキで発散したのか、今はさほど気にならないようだ。
「ちゃんと林檎も二つ確保してきたんですよ。準備万端! 才色兼備! ああ、私って気がきくなあ。やむにやまれぬ大和撫子ですよ」
わけの分からない事を言いながら、俺に林檎をひとつ渡してきた。
ともあれ、粘土を使って林檎を形成してゆく事になったのだが……これが思ったより難しい。なにしろ粘土なんて幼い頃や小学生の時に触って以来なのだ。
一応は彫刻家の孫とはいえ、祖父から特別な指導を受けたわけでもない俺が、林檎の模刻なんてしても、いびつなボールに爪楊枝が刺さってるようにしか見えない。
でも、なかなか面白いかもしれない。粘土が自らの手によって形になってゆくさまが、まるで創造主にでもなったように思えて徐々にテンションが上がる。
星乃はというと
「先輩先輩、先輩の好きな芸術家って誰ですか? ……って、愚問でしたね。おじいさんに決まってますよね。私ってば迂闊な質問をしてしまいました。てへぺろりんぬ。ちなみに私は蜂谷先生です!」
楽しそうに俺に話しかけながらも、意外と上手に林檎を形成している。フリーとはいえ、さすがは美術部員といったところか。
「そういえば聞いてください。私、今まで温めていたスマホゲーのアイディアがあって」
「は?」
なんだいきなり。スマホゲーがどうしたって?
「その名も『夢色アーティスト』! 略して『夢スト』です!」
放課後の美術室で、星乃は拳を振り上げながらテンション高く宣言する。どうでもいいが「ビバ」はイタリア語だが、「アップル」は英語だ。
もちろん今日も蜂谷先生に入部届を提出しに行ったのだが、やはり受け取って貰えなかった。また文字が気に入らないだとか理不尽な理由で。
けれど星乃はもう慣れているのか、それとも昨日のパンケーキで発散したのか、今はさほど気にならないようだ。
「ちゃんと林檎も二つ確保してきたんですよ。準備万端! 才色兼備! ああ、私って気がきくなあ。やむにやまれぬ大和撫子ですよ」
わけの分からない事を言いながら、俺に林檎をひとつ渡してきた。
ともあれ、粘土を使って林檎を形成してゆく事になったのだが……これが思ったより難しい。なにしろ粘土なんて幼い頃や小学生の時に触って以来なのだ。
一応は彫刻家の孫とはいえ、祖父から特別な指導を受けたわけでもない俺が、林檎の模刻なんてしても、いびつなボールに爪楊枝が刺さってるようにしか見えない。
でも、なかなか面白いかもしれない。粘土が自らの手によって形になってゆくさまが、まるで創造主にでもなったように思えて徐々にテンションが上がる。
星乃はというと
「先輩先輩、先輩の好きな芸術家って誰ですか? ……って、愚問でしたね。おじいさんに決まってますよね。私ってば迂闊な質問をしてしまいました。てへぺろりんぬ。ちなみに私は蜂谷先生です!」
楽しそうに俺に話しかけながらも、意外と上手に林檎を形成している。フリーとはいえ、さすがは美術部員といったところか。
「そういえば聞いてください。私、今まで温めていたスマホゲーのアイディアがあって」
「は?」
なんだいきなり。スマホゲーがどうしたって?
「その名も『夢色アーティスト』! 略して『夢スト』です!」