仕方なく、失意のうちに美術室を後にする。
とぼとぼと廊下を歩く。と、男子トイレの前に差し掛かった時、妙な音が聞こえた。
呻くような苦しげな声。咳き込む音。
誰かがいる? しかも具合の悪そうな声を発している。
おそるおそるトイレに足を踏み入れ、個室をひとつずつ確認してゆく。誰かが倒れていたりしたら大変だ。
ここのトイレは一番奥の個室だけ洋式の便器になっている。そこを覗いた瞬間、一人の男子生徒が便器に向かってえずいているのが見えた。
「おい、大丈夫か⁉」
咄嗟に声を掛けるも
「……っせーな」
「どこか具合が悪いのか? 保健室まで行くのを手伝うか?」
男子生徒の腕に手を掛けるも振り払われる。
「うっせーって言ってんだろ……ほっとけよ!」
そう言われても、どう見ても具合は良くなさそうだ。
「待ってろ。誰か人を呼んでくる」
俺は踵を返すと、男子トイレから飛び出した。
向かった先は美術準備室。ノックもそこそこにドアを開けると、予想通り蜂谷先生の姿が。
「すみません、蜂谷先生。一緒に来て頂けませんか? トイレに気分の悪そうな生徒がいて……」
蜂谷先生は怪訝そうにしながらも、椅子から立ち上がり、俺についてきてくれた。
廊下を歩きながら簡単に経緯を説明する。
「それは……問題だな」
「そうですよね。でも、俺一人じゃ保健室に連れて行けそうにないので、先生のお力をお借りしたいと思いまして……」
そんな話をしているうちに、男子トイレの前に着いた。
とぼとぼと廊下を歩く。と、男子トイレの前に差し掛かった時、妙な音が聞こえた。
呻くような苦しげな声。咳き込む音。
誰かがいる? しかも具合の悪そうな声を発している。
おそるおそるトイレに足を踏み入れ、個室をひとつずつ確認してゆく。誰かが倒れていたりしたら大変だ。
ここのトイレは一番奥の個室だけ洋式の便器になっている。そこを覗いた瞬間、一人の男子生徒が便器に向かってえずいているのが見えた。
「おい、大丈夫か⁉」
咄嗟に声を掛けるも
「……っせーな」
「どこか具合が悪いのか? 保健室まで行くのを手伝うか?」
男子生徒の腕に手を掛けるも振り払われる。
「うっせーって言ってんだろ……ほっとけよ!」
そう言われても、どう見ても具合は良くなさそうだ。
「待ってろ。誰か人を呼んでくる」
俺は踵を返すと、男子トイレから飛び出した。
向かった先は美術準備室。ノックもそこそこにドアを開けると、予想通り蜂谷先生の姿が。
「すみません、蜂谷先生。一緒に来て頂けませんか? トイレに気分の悪そうな生徒がいて……」
蜂谷先生は怪訝そうにしながらも、椅子から立ち上がり、俺についてきてくれた。
廊下を歩きながら簡単に経緯を説明する。
「それは……問題だな」
「そうですよね。でも、俺一人じゃ保健室に連れて行けそうにないので、先生のお力をお借りしたいと思いまして……」
そんな話をしているうちに、男子トイレの前に着いた。