星乃の所属する一年D組を訪れた俺は、ドア脇で教室内を見回す。
どこだ。どこにいるんだ。星乃。
俺の焦りとは裏腹に、教室内の空気は休み時間を堪能するように賑わっている。
「ちょっと、そこの君たち」
ちょうど俺の横をすり抜けて教室から出ようとしている女子生徒たちに声をかける。
「菜野花畑星乃を見なかったか?」
女子生徒たちはお互いの顔を見合わせると、揃って首を横に降る。
「少なくとも教室にはいないみたいっすね。午前中はいましたけど。ていうかアイツ、またなんかやらかしたんすか? ストーキング再開とか?」
ショートカットの女子が、興味津々といった様子で聞いてくる。
隣のボブヘアーの女子も同調するように頷く。
「怖いよねえ。ストーキングの挙句ガラス割っちゃうなんて……」
なんだか話に齟齬があるな。俺はまとわりついた相手に突き飛ばされたと聞いたが……。
ショートカットの女子は頷く。
「アイツがしつこかったから、ちょっとふり払った拍子に、勝手にガラスに突っ込んじゃってさ。あたしもいい迷惑だったっすよ」
ちょっと待て。て事は、この目の前のショートカット女子が、星乃を突き飛ばした当人だと?
信じられない。仮にも人に危害を加えておきながら、さも自分が被害者だというようなこの態度。
「おまけに高校じゃ同じクラスだし、マジ最悪。まあ、その件以来みんなに注意喚起したから、アイツも大人しくなりましたけど」
それじゃあ、星乃がストーカーだって噂を流したのはこのショートカット女子なのか?
言いたいことはたくさんあったが、今は星乃が優先だ。俺は踵を返して走り出した。
廊下をあても無く走りながら考える。
星乃は「美術室にしか居場所がない」とも言っていた。それなら彼女はどこにいるんだ?
くそっ、こんな事なら電話番号でも交換しとくんだった。
俺は立ち止ると、途方に暮れて天を仰いだ。
どこだ。どこにいるんだ。星乃。
俺の焦りとは裏腹に、教室内の空気は休み時間を堪能するように賑わっている。
「ちょっと、そこの君たち」
ちょうど俺の横をすり抜けて教室から出ようとしている女子生徒たちに声をかける。
「菜野花畑星乃を見なかったか?」
女子生徒たちはお互いの顔を見合わせると、揃って首を横に降る。
「少なくとも教室にはいないみたいっすね。午前中はいましたけど。ていうかアイツ、またなんかやらかしたんすか? ストーキング再開とか?」
ショートカットの女子が、興味津々といった様子で聞いてくる。
隣のボブヘアーの女子も同調するように頷く。
「怖いよねえ。ストーキングの挙句ガラス割っちゃうなんて……」
なんだか話に齟齬があるな。俺はまとわりついた相手に突き飛ばされたと聞いたが……。
ショートカットの女子は頷く。
「アイツがしつこかったから、ちょっとふり払った拍子に、勝手にガラスに突っ込んじゃってさ。あたしもいい迷惑だったっすよ」
ちょっと待て。て事は、この目の前のショートカット女子が、星乃を突き飛ばした当人だと?
信じられない。仮にも人に危害を加えておきながら、さも自分が被害者だというようなこの態度。
「おまけに高校じゃ同じクラスだし、マジ最悪。まあ、その件以来みんなに注意喚起したから、アイツも大人しくなりましたけど」
それじゃあ、星乃がストーカーだって噂を流したのはこのショートカット女子なのか?
言いたいことはたくさんあったが、今は星乃が優先だ。俺は踵を返して走り出した。
廊下をあても無く走りながら考える。
星乃は「美術室にしか居場所がない」とも言っていた。それなら彼女はどこにいるんだ?
くそっ、こんな事なら電話番号でも交換しとくんだった。
俺は立ち止ると、途方に暮れて天を仰いだ。