「やっぱりこの色はちょっと攻めすぎだったんでしょうか……」

「赤坂がアレだから大丈夫だと思ったんだが、まさか地毛だったとは、とんだ誤算だったな……」

「でも、蓮上先輩結構似合ってますよ。なんていうか、その、まったりとして、それでいてしつこくない、さわやかな色……」

「無理に褒めなくていい」

 廊下をとぼとぼ歩きながら俺達は言葉を交わす。その間にも、すれ違う生徒たちから好奇の目を向けられているのがわかる。
 なんだか急に恥ずかしくなってきた。赤坂の真似をするというこの方法を思い付いた時は、気が進まないながらもなかなかの名案だと思ったんだがなあ……。

「せめて事前に先生達に相談するべきだったな」

「そうですね。ホウレンソウは大事ですね……」

 そんな反省会をしながら、俺達は近所のヘアサロンへと向かったのだった。