星乃はぱっと立ち上がり、背を向けて走り出す。かと思うと、あっという間に校舎の角を曲がって見えなくなってしまった。
参ったな。どうやら怒らせてしまったようだ。真実を告げるという行為は、時として人を傷つけ、激高させてしまうものらしい。適当に嘘でもついてればよかった。白とかピンクとか。
これじゃあ肝心の銅像の件についてわからずじまいだ。彼女はこの学校で唯一の美術部員だってのに。
先ほどの言動をちらりと後悔しかけた時、走り去ったはずの星乃が校舎の柱の陰からひょこっと顔を覗かせた。ミルクティー色が揺れる。
「蓮上先輩ぃ! 私、すっごくいい事思いつきました! 明後日! 日曜日ですよね! お休みですよねえ⁉」
両手をメガホンのように口元にあて、こちらに向かって叫ぶ。
その声の大きさに、隣のグラウンドで部活動をしていた陸上部が、ちらちらとこちらへ顔を向ける。
それを若干恥ずかしく思いながらも、負けじと星乃に言い返す。
「それがどうしたんだ⁉」
「朝十時! その像の前に集合!」
「は?」
「それじゃあ、約束ですよぉ! よろしくお願いしますねぇ!」
「え? おい、ちょっと……!」
何事かと問う前に、星乃は素早く顔を引っ込めて、今度こそ戻ってこなかった。
なんなんだ一体……。
参ったな。どうやら怒らせてしまったようだ。真実を告げるという行為は、時として人を傷つけ、激高させてしまうものらしい。適当に嘘でもついてればよかった。白とかピンクとか。
これじゃあ肝心の銅像の件についてわからずじまいだ。彼女はこの学校で唯一の美術部員だってのに。
先ほどの言動をちらりと後悔しかけた時、走り去ったはずの星乃が校舎の柱の陰からひょこっと顔を覗かせた。ミルクティー色が揺れる。
「蓮上先輩ぃ! 私、すっごくいい事思いつきました! 明後日! 日曜日ですよね! お休みですよねえ⁉」
両手をメガホンのように口元にあて、こちらに向かって叫ぶ。
その声の大きさに、隣のグラウンドで部活動をしていた陸上部が、ちらちらとこちらへ顔を向ける。
それを若干恥ずかしく思いながらも、負けじと星乃に言い返す。
「それがどうしたんだ⁉」
「朝十時! その像の前に集合!」
「は?」
「それじゃあ、約束ですよぉ! よろしくお願いしますねぇ!」
「え? おい、ちょっと……!」
何事かと問う前に、星乃は素早く顔を引っ込めて、今度こそ戻ってこなかった。
なんなんだ一体……。