「え? どんなどんな? 教えてほしのん」
「先生は視力が悪かったんです。でも眼鏡は酔うし、コンタクトレンズは体質に合わないらしくて。だから私と望月先輩を見間違えて、言われるままにほくろを描いてしまったそうです。この似顔絵が私に似てないのもそのせいだったんですよ。きっと、もっと近い距離で描いて貰っていればそっくりだったはず」
「へえー、なるほどねえ」
雪夜は納得したようだ。俺は心の中で星乃に感謝すると共に言い添える。
「雪夜、お前の演技が良かったっていうのもあるんじゃないか? だから先生も騙されてしまったんだ」
「え、そう? そうかな? だったら変装し甲斐があったよ。僕、女子っぽい演技できてた?」
「ああ、できてたできてた」
雑な褒め方にも、雪夜は嬉しいのか笑い声を漏らす。と、その後でふと気づいたように顔を上げた。
「ねえねえ、それじゃあさ、例の顔が黒く塗り潰されてたっていう肖像画の噂は? ほんとにあったの? 先生と話した? なんで塗り潰されてたのかわかった?」
「そ、それは……」
困ったように言いよどむ星乃。流石に先生の事を考えれば真実なんて話せるわけがない。
俺は思わずそれを遮って口を開いていた。
「その件だが……おそらく肖像画を黒く塗り潰したのは、モデル兼持ち主だった小鳥遊先輩本人だ」
星乃が弾かれたように俺に顔を向ける。真相を話すつもりなのかと無言で問いかけているようだ。
「先生は視力が悪かったんです。でも眼鏡は酔うし、コンタクトレンズは体質に合わないらしくて。だから私と望月先輩を見間違えて、言われるままにほくろを描いてしまったそうです。この似顔絵が私に似てないのもそのせいだったんですよ。きっと、もっと近い距離で描いて貰っていればそっくりだったはず」
「へえー、なるほどねえ」
雪夜は納得したようだ。俺は心の中で星乃に感謝すると共に言い添える。
「雪夜、お前の演技が良かったっていうのもあるんじゃないか? だから先生も騙されてしまったんだ」
「え、そう? そうかな? だったら変装し甲斐があったよ。僕、女子っぽい演技できてた?」
「ああ、できてたできてた」
雑な褒め方にも、雪夜は嬉しいのか笑い声を漏らす。と、その後でふと気づいたように顔を上げた。
「ねえねえ、それじゃあさ、例の顔が黒く塗り潰されてたっていう肖像画の噂は? ほんとにあったの? 先生と話した? なんで塗り潰されてたのかわかった?」
「そ、それは……」
困ったように言いよどむ星乃。流石に先生の事を考えれば真実なんて話せるわけがない。
俺は思わずそれを遮って口を開いていた。
「その件だが……おそらく肖像画を黒く塗り潰したのは、モデル兼持ち主だった小鳥遊先輩本人だ」
星乃が弾かれたように俺に顔を向ける。真相を話すつもりなのかと無言で問いかけているようだ。