「人を殺めるなんて言い過ぎかもしれないけど、自分自身も傷つけてしまいそうな、そんな雰囲気を持っている気がして」
「……うん、それは私も蒼生くんの言うことは分かる気がするな。まだ詳しくは分からないけど、陸くんのあの人を寄せ付けない雰囲気は何かある気がする」
「わかった。蒼生も安達もそう言うなら、陸のこと、オレと笠原で調べてみるよ」
「うん、調べ事なら任して。確か陸ってN中出身って聞いたことがある。N中出身の友達ならアタシ結構いるんだ」
「N中なら近くにパパの子会社があるから、陸くんの家族のこと知ってる人がいるかもしれないし、私も調べてみるね」
翔太、ひな子、柚が積極的に動き出す。
「サンキュ。みんな頼む」
蒼生くんがそう言うと同時にチャイムが鳴った。
3人は屋上に居たことがバレないよう、そっと入り口から校内を覗くと、誰も居ないことを確認し屋上を後にする。
そっとドアから覗いても、蒼生くんを追いかけている女子たちの姿はなくて安心した。
「蒼生くんは戻らないの?」
私が振り向き言うと、蒼生くんは空を見上げ「んー」と大きく伸びをすると気の無い返事をした。そんな姿を私は見つめた。
「……」
なんで蒼生くんは、生徒の悩みを解決したいと思うんだろう……。