「いらない」

「えっ」

「出かけるから」

「出かけるって、もう18時じゃない」

「……」

「もう遅いから、やめなさい」

 いつも、いつも私を1人にして、ご飯も1人で食べて、遅くまで外にいることなんて当たり前で……そんなこと、ママは知りもしない。

 だから「もう遅いから、やめなさい」なんて親面したようなことが言えるんだ。気まぐれに。

 私のことなんて何も知らないくせに……。

「今までほったらかしで、親面しないでよ」

 私はそう言うと、着替えもせず家を飛び出した。

「新菜!」

 私はあんな女にならない!

 気まぐれで、その気分を子供にぶつけるなんて、そんな親いらない。

 親らしいことなんて、一つもしたことないくせに。

 たかが夕飯作ったくらいで、偉そうに――。