その証拠に吉岡先生は私たちSSFのことを漏らすことはなかったのだ。
みんなが心配していたのは、吉岡先生にSSFのことがバレて、学校にも知られるんじゃないかということだった。でも、あれから数日が経っても何も言われることもない。この屋上に来ることもできている。
『柚の想いが伝わった』
私はそう言ったけれど、もしかすると吉岡先生は本当に柚のことが好きだったんじゃないか……そんなふうに思った。これはあくまでも私の考えだけど。
柚の笑顔でみんなの声が明るくなった気がする。
みんなを見つめていると、蒼生くんと目があった。
蒼生くんは目を伏せ、そしてまた笑った。
「……」
蒼生くん……。
もしかしたら、蒼生くんも私と同じことを考えていたのかもしれない。
だから吉岡先生の前に姿を見せることも、ためらうことはなかったのかもしれないな。
始めからこうなることを知って……。
そう思うと蒼生くんは本当に不思議な人で。
蒼生くんは未来の先までも見えているんじゃないかと、そう思えた。