ガタン!

 扉が閉まる大きな音にみんなが振り向いた。

 そこには柚の姿があった。

「うそ……そんな話、うそだ……」

「柚……」

「……吉岡先生が、そんな人のはずないっ」

「柚!」

 柚の目から大粒の涙が落ちた。

「柚!」
 
 蒼生くんが柚の肩を力強く掴んだ。

「本当かどうか確かめるしかないんだ! このままじゃ柚と同じ思いをする生徒が今後も必ず出てしまう」

「……」

「どんなにいい先生と言っても、これは犯罪だ! 本人がどこまで自覚があるのか、無意識なのか……柚のことをどう思っているのか、確かめる必要があるんだ」

 蒼生くんは力強く、真っ直ぐ柚を見つめた。

「……う……うん」

 ボロボロと音を立てるように涙を流す柚は、大きく頷いた。

「柚!」

「ひなちゃんっ……」

 ひな子が走り寄りキツく柚を抱きしめた。

 なんて……なんて強い……。

 今にも心が砕けてしまいそうな、そんな内容なのに、柚はそれをしっかり受け止めようとしている。

 柚のそんな姿に、苦しくて、胸が痛くて、涙が溢れた。