私は私服に着替えると、すぐに家を出た。
べつに食事なんてどうでもよかった。食べたって食べなくたって、どうだっていい。あの大きな家に1人でいることが苦痛だった。
何がしたいかなんてわからない。あの家に1人でいて、何かを考えるなんてできなかった。
家のインテリアも、食器も、外すことが面倒になっている家族写真も、すべてがママで、きっと考えることはママのことばかり。今の私には楽しいと思えることを考えられる気がしなかった。
夜の街へ飛び出すと、そこは何も変わらない街。
またいつものようにファミレスか、それともファストフードか……。1人でカラオケなんて行ってもつまらないか……。
フラフラとただ歩くだけの数十分。なんの当てもないまま歩き続けることも、その意味も何もない。こういう時、SSFへの依頼者のことを考える。