「おはようございます」
驚いた。
彼女に、ではない。
この状況を自然と受け入れている自分に、だ。
現在は、会社員を辞めてフリーターに甘んじているが、決して社会不適合者というわけではないと思う。
むしろ、一度ライフサイクルが固まると惰性でズルズルと続けてしまうタイプなので、社畜になるには打って付けの性格ですらある。
彼女とはまだ会って2日だが、良くも悪くも新しい人間関係に順応しやすくなったということだろうか。
クラス替えの前日に腹痛を訴えていた少年時代など、遠い過去の話だ。
だから、出会って間もない彼女が裸で横に寝ていようが、俺にとってはもはや日常の1ページに過ぎないのかもしれない。
「お前のこと少しずつ分かってきたよ。この程度では動揺しなくなってきた」
「……じゃあ今日何の日か分かりますか?」
「知らん」
「ヒント、今日は~回目の?」
「いいから早よ言え」
「な・ん・と、今日は私のお誕生日なんです!」
「そりゃおめでとー」
「何回目だと思います?」
「昭和って64年までだっけ?」
「あなたより年下って言ってるじゃないですかっ!」
「あんまり昭和でムキになるなよ……。逆に怪しいぞ」
「何かプレゼントくれてもいいんですよ」
「そうだなー、お前を名誉棄損で訴えて慰謝料たっぷりふんだくった後なら考えてやらんでもないな」
「実質自腹じゃないですか……」
彼女としょーもないやり取りを繰り広げつつも、俺は洗顔やら歯磨きやら着々と準備を進めていた。
「お前もいつまでもそんな恰好してないで着替えろよ。つーかコスプレ衣装はどうした?」
「アレは昨日までのレンタル品だったんですよ」
「だからって裸で来んな! じゃあ今日はどうすんだよ?」
「ここのホテル、コスチュームの販売もやってるみたいですよ!」
そう言うと、浄御原はおもむろにルームサービスのコスチュームメニューを手に取り、嬉々とした表情で物色し始めた。
マジか、コイツ……。
もはや何でもアリだな。
「まぁ何でもいいけど、早くしてくれ」
「何かご希望はございますか?」
「とりあえずアニメ系と極端に露出の多いのはナシな……。これから外歩くんだし」
俺は先にホテルを出ると告げ、部屋を後にする。
そう言えば、腹が減ったな。昨日は何も食べていない。
まずはどこか喫茶店にでも入って軽く腹ごしらえするか。
今後の予定をシミュレーションしていると、浄御原がホテルから出てきた。
……まぁあの中なら無難なチョイスか。
バニーガールとかだったらどうしようかと思ったが。とは言え。
「よくもまぁ恥ずかし気もなく着れるよな。三十路がセーラー服って……」
「だ・か・ら、あなたより年下ですっ!」
これだと俺が援交してるみたいになるんだよなぁ。
「とりあえず腹減ったからどこか店に入っていいか? まぁ誕生日みたいだし、奢ってやるよ」
「…………」
「ん? どうかしたか?」
「……いえっ! いやだなぁ、近江さん! 誕生日だなんて嘘に決まってるじゃないですかー」
「はぁ!? 誕生日嘘とかマジで意味分かんねぇ! 何の得があるんだよ……」
「勘違いした近江さんが朝食をご馳走してくれるというメリットがあるかもしれませんね」
「なんじゃそりゃ……」
「冗談はともかく本当にお構いなく。むしろ今回はこちらの不手際ですので、ココは私が出すべきです」
「もうどっちでもいいよ、任せる」
朝からコイツのペースにやられっぱなしだ。
このままではいくらカロリーがあっても足りないので、一刻も早く腹に何かを入れたい。
驚いた。
彼女に、ではない。
この状況を自然と受け入れている自分に、だ。
現在は、会社員を辞めてフリーターに甘んじているが、決して社会不適合者というわけではないと思う。
むしろ、一度ライフサイクルが固まると惰性でズルズルと続けてしまうタイプなので、社畜になるには打って付けの性格ですらある。
彼女とはまだ会って2日だが、良くも悪くも新しい人間関係に順応しやすくなったということだろうか。
クラス替えの前日に腹痛を訴えていた少年時代など、遠い過去の話だ。
だから、出会って間もない彼女が裸で横に寝ていようが、俺にとってはもはや日常の1ページに過ぎないのかもしれない。
「お前のこと少しずつ分かってきたよ。この程度では動揺しなくなってきた」
「……じゃあ今日何の日か分かりますか?」
「知らん」
「ヒント、今日は~回目の?」
「いいから早よ言え」
「な・ん・と、今日は私のお誕生日なんです!」
「そりゃおめでとー」
「何回目だと思います?」
「昭和って64年までだっけ?」
「あなたより年下って言ってるじゃないですかっ!」
「あんまり昭和でムキになるなよ……。逆に怪しいぞ」
「何かプレゼントくれてもいいんですよ」
「そうだなー、お前を名誉棄損で訴えて慰謝料たっぷりふんだくった後なら考えてやらんでもないな」
「実質自腹じゃないですか……」
彼女としょーもないやり取りを繰り広げつつも、俺は洗顔やら歯磨きやら着々と準備を進めていた。
「お前もいつまでもそんな恰好してないで着替えろよ。つーかコスプレ衣装はどうした?」
「アレは昨日までのレンタル品だったんですよ」
「だからって裸で来んな! じゃあ今日はどうすんだよ?」
「ここのホテル、コスチュームの販売もやってるみたいですよ!」
そう言うと、浄御原はおもむろにルームサービスのコスチュームメニューを手に取り、嬉々とした表情で物色し始めた。
マジか、コイツ……。
もはや何でもアリだな。
「まぁ何でもいいけど、早くしてくれ」
「何かご希望はございますか?」
「とりあえずアニメ系と極端に露出の多いのはナシな……。これから外歩くんだし」
俺は先にホテルを出ると告げ、部屋を後にする。
そう言えば、腹が減ったな。昨日は何も食べていない。
まずはどこか喫茶店にでも入って軽く腹ごしらえするか。
今後の予定をシミュレーションしていると、浄御原がホテルから出てきた。
……まぁあの中なら無難なチョイスか。
バニーガールとかだったらどうしようかと思ったが。とは言え。
「よくもまぁ恥ずかし気もなく着れるよな。三十路がセーラー服って……」
「だ・か・ら、あなたより年下ですっ!」
これだと俺が援交してるみたいになるんだよなぁ。
「とりあえず腹減ったからどこか店に入っていいか? まぁ誕生日みたいだし、奢ってやるよ」
「…………」
「ん? どうかしたか?」
「……いえっ! いやだなぁ、近江さん! 誕生日だなんて嘘に決まってるじゃないですかー」
「はぁ!? 誕生日嘘とかマジで意味分かんねぇ! 何の得があるんだよ……」
「勘違いした近江さんが朝食をご馳走してくれるというメリットがあるかもしれませんね」
「なんじゃそりゃ……」
「冗談はともかく本当にお構いなく。むしろ今回はこちらの不手際ですので、ココは私が出すべきです」
「もうどっちでもいいよ、任せる」
朝からコイツのペースにやられっぱなしだ。
このままではいくらカロリーがあっても足りないので、一刻も早く腹に何かを入れたい。