『城魔法、改修及び増築リスト。
拡大又は機能UP:診察室・調剤室・待合室・リビング・キッチン・お風呂・屋根裏
部屋数追加 :三階』
以前に表示されたリストと、ほぼ同じ内容が表示された。
現在、俺、セシル、アーニャの三人に加えて、アーニャの家族三人と、ミハイルさんの仲間が二人、その人たちの家族が四人で、合計十二名という大所帯になっているので、三階の部屋数追加を選択する。
――城魔法の増築を行いました。三階に部屋が追加されました――
特に音もしなかったし、振動すらなかったけど、増築が完了したらしい。
皆を連れて三階へ上がると、
「あれ? お兄さん。三階が広くなってない?」
「貢献ポイントが溜まったから、三階の部屋を増やしたんだ」
部屋の扉が六つに増えていた。
二階よりも三階の方が広い気がするけど、魔法的な力でどうにかなっているのだろう。
全員でリビングに居るのも大変だし、それぞれの部屋に各家族を割り当て、自由に使ってもらう事にした。
「じゃあ、ボクはお兄さんの部屋に行こーっと」
「ウチもお兄ちゃんの部屋へ行くー」
「ナターリヤ……ナターリヤァァァッ!」
セシルはいつも通りなんだけど、ナターリヤが俺の部屋に入ろうとして、廊下にお父さんの悲しい叫び声が響く。
お父さんの気持ちは良く分かるので、ナターリヤには家族水入らずで過ごしてもらうようにお願いしておいた。
「そうだ。セシル、ミアさんに貰った魔法の手紙を一つ使っても良い?」
「良いけど、ミアに何を伝えるのー?」
「アーニャの家族が見つかったっていう話と、他の家族も含めて、元の国へ帰れるようにしてあげられないかと思って」
「そっか。ミアがアーニャの家族を探してくれているもんね。じゃあ、ボクが書いて送っておくよー」
ミアさんへの連絡をセシルに任せ、今日の所は皆で楽しく食事をしようと思い、
「そうだ! BBQだっ!」
良いアイディアが閃いた。
日本では実現出来なかったけど、複数の家族が集まって、庭でBBQをするのって夢があると思わない?
ある意味、そこら中全てが庭という環境の中で、ミハイルさんの仲間の魔法使いが無駄に大きな炎を起こしてくれたので、直火で肉や野菜を焼いて食べ、皆で楽しむ。
そう、俺は休日にこういう事がしたかったんだよな。
ブラック企業に就職してしまったし、そもそも休日が無かったから、出来なかったけどさ。
人生初の家の前でのBBQを満喫した後は、割り当てたそれぞれの部屋hw。
「セシル、おやすみ」
「お兄さん、おやすみ」
BBQではしゃぎ過ぎ、すぐに睡魔に襲われると、ナターリヤと二回もキスをしたからか、夢の中でセシルと濃厚なキスをしている。
恥ずかしそうに頬を赤らめたセシルからの、遠慮がちなキスから始まり、大胆になったセシルが舌を……って、なんて夢を見ているんだっ!
流石にこれは起こり得ないだろうと、自分の夢にツッコミながら目覚めると、何故かすぐ傍にセシルの顔があって、思いっきり目が合ってしまった。
何故、セシルの顔が俺の顔のすぐ横に?
状況が理解出来ずに居ると、いつの間にかセシルの顔が消え、毛布の中でセシルが小さくなっていた。
俺が寝ぼけていただけだと思うんだけど、起きてからセシルが目を合わせてくれないのは何故だろうか。
「リュージさん。ついに、セシルさんと……」
「アーニャ、何の話っ!?」
何故かアーニャに生温かい目で見られながら朝食を済ませた所で、ミアさんが現れた。