『サモン・コール
ステータス
ハイディング
トルネード
バースト・ウィンド
ポイズン・ミスト
カース・タッチ
セイント・ボム』
銀色の枠を覗いてみると、見慣れない言葉が沢山羅列されている。
何だろうかと思いながら、一番下のセイント・ボムに触れてみると、轟音と共に前方が爆発した。
「わっ! お兄さん。今の爆発は?」
「えーっと、二次魔法のレベルが上がって得た、新しいスキルを使ったら、こうなったんだ」
「そうなんだ。でも、今の爆発で生じた魔力って、どこかで感じた気がするんだけど」
「あー、さっきミアさんが使っていたセイント・ボムを選んだよ」
表示された名前と、それによって起こった結果。それにセシルの言葉から察すると、おそらく俺が今まで見た事のある魔法を再現するスキルなのだろう。
今度は上にあるステータスをタッチしてみると、
『サイトウ=リュージ
三十二歳 男
属性適性:土
保有スキル:城魔法、倉魔法、二次魔法、お医者さんごっこ、お店屋さんごっこ』
俺の情報が詳しく表示された。
これで新しいスキル、アーカイブの効果は思った通りで間違いなさそうだけど、ポイズン・ミストやカース・タッチって、魔物が使ってきた攻撃だよね?
流石に使うのは抵抗があるんだけど。
「どうやら、今まで俺が見たスキルを使う事が出来るスキルみたいだ」
「お兄さん。それって、かなり凄いんじゃない? いろんな人の戦いを見ているだけで、それが使えるようになっちゃんうんでしょ? 例えば、今ボクが使える一番強力な魔法を使ったら、お兄さんもそれが使えるようになるんだから」
「そうなのかな?」
「きっとそうだよー。ちょっとやって見ようよー」
そう言うと、セシルが俺から少し離れ、何も無い草むらに向かって魔法を放つ。
「アース・スパイク!」
その直後、激しい揺れと共に地面から大きな槍のように尖った岩が幾つも突き出て、暫くすると元の状態へと戻っていく。
「セシル……凄いな」
「うん。でも、土の精霊の力が強い場所でしか使えないから、この前みたいな川では使えないし、ちょっと不便なんだけどね。それよりお兄さん。今のが使えるようになっているの?」
「ちょっと待って……アーカイブ」
再び銀色の枠が表示されると、セイント・ボムの下にアース・スパイクが追加されていたので、早速タッチすると、先程セシルがやったように、地面から大きな岩が飛び出してくる。
「お兄さん、凄いよっ! じゃあ、次はー……」
「先程から凄い音ですが、何があったんですか?」
セシルが次の魔法を考えていると、クリニックから出てきたアーニャが、恐る恐る近づいてきた。
「ごめんね。新しいスキルを得たから、いろいろ試していたんだよ」
「そうなんですね。どんなスキルなんですか?」
「それが、今まで俺が見たスキルを使用出来るみたいでさ。実際にやってみせるよ」
魔法が使えるようになったみたいなので、ちょっと得意げにアーカイブを使用し、今度はどれを使おうかと考えていると、ある言葉に目が留まる。
「サモン・コールって何だろう」
サモンは俺の実家を呼び出す城魔法だし、何かを呼び出すのだろうか。
一先ずサモン・コールをタッチすると、
『誰を召喚しますか? 召喚する相手の名前を言いながら、再度選択してください』
銀色の枠にエラーメッセージのような言葉が表示されてしまった。
「……待てよ。アーニャ。探している家族――例えばお父さんの名前って何だっけ?」
「私の父ですか? ミハイル=スヴォロフですけど?」
「了解。ちょっと待ってね……サモン・コール。ミハイル=スヴォロフ!」
メッセージに表示された通り、名前を呼びながらタッチすると、目の前に魔方陣が描かれ、
「お……お父さんっ!」
「え? あ、アーニャ!? アーニャなのかっ!?」
アーニャのお父さんが現れた。