「なんだろうなー」
宿で朝食を済ませ、ギルド本部へ出発……となったけど、昨日のモヤモヤがまだ晴れない。
この違和感は一体何なのだろうか。
「お兄さん、どうかしたのー?」
「いや、昨日の違和感が未だとれなくて」
「ん-、お兄さんは自分で自分を診察出来ないの?」
「そっか。診察すれば良いんだ。でもあれは、クリニックでしか使えないから、先にギルドへ行ってしまおう。俺の事は後で良いよ」
宿をチェックアウトするついでに商人ギルドの場所を聞いて、今度こそ出発した。
人が多いので、逸れないようにセシルとアーニャと手を繋ぎ、教えてもらった通りに進むと、大きな建物の前に辿り着く。
「これが、商人ギルドの本部か」
「それなりに大きいねー」
「あの、早く! 早く中へ入りましょう!」
アーニャに引っ張られるようにして中へ入り、ギルドの職員や、他の街から来たと言う行商人などに話を聞いてみたが、有益な情報は出て来なかった。
しょんぼりしているアーニャを連れ、ギルドから少し離れた場所にあるカフェで、これからどうしようかと話をしていると、
「よう。アンタたち、獣人族を探しているんだってな」
ガラの悪い五人程の男たちが話しかけてきた。
見た目は明らかに胡散臭い、いわゆるゴロツキと呼ばれるような風貌なのだが、
「は、はい! 何か、御存知なのですか!? 些細な事でも構いませんので、教えてください!」
アーニャがキラキラと目を輝かせて話に喰いつく。
「いやー、俺たちもちょいと耳にした程度だから詳しくは知らないんだがよ。あっちに見たって奴が居るんだよ。話だけでも聞きに行くかい?」
「はいっ! お願いします!」
あからさまに怪しいのだが、アーニャが居ても立っても居られない様子で立ち上がってしまった。
仕方が無い。嫌な予感しかしないが、行くしかないか。
アーニャと一緒に行こうと俺が立ち上がると、
「あー、そっちの兄ちゃんはここで待っていてくれ。見たって奴が極度の人見知りでよ。出来るだけ少ない人数にしてやりてーんだわ」
もっともらしい言い分で、アーニャを一人にしようとする。
そのくせ、
「でも、そっちのお嬢ちゃんなら来ても良いぜ。人見知りする奴だけど、一人くらいなら増えても大丈夫だろ」
などと言ってくる。
いやいや、だったら俺が一緒でも良いだろう。
確実に黒だと決めつけて、セシルに目をやると、俺と同じ考えだったようで、無言のまま小さく頷いた。
しかし、
「すみません。ではリュージさん、セシルさん。少しだけ待っていてください。ちょっと話を聞いてきます」
俺が止める間も無く、アーニャが走り出す。
「アーニャ、待つんだ! これは、怪し過ぎる! 止まるんだっ!」
「おっと、兄ちゃん。どこへ行くつもりなんだ? 座ってな!」
だが俺の声はアーニャに届かず、三人の男が行く手を阻む。
「邪魔を、するなっ!」
ゴロツキたちにタックルを仕掛けて、強硬突破しようとした所で、
「フッ――この世に悪の栄えた試しなし! 愛と勇気と希望の名の元に、ホーリープリンセス参上っ!」
変な奴が現れた。
宿で朝食を済ませ、ギルド本部へ出発……となったけど、昨日のモヤモヤがまだ晴れない。
この違和感は一体何なのだろうか。
「お兄さん、どうかしたのー?」
「いや、昨日の違和感が未だとれなくて」
「ん-、お兄さんは自分で自分を診察出来ないの?」
「そっか。診察すれば良いんだ。でもあれは、クリニックでしか使えないから、先にギルドへ行ってしまおう。俺の事は後で良いよ」
宿をチェックアウトするついでに商人ギルドの場所を聞いて、今度こそ出発した。
人が多いので、逸れないようにセシルとアーニャと手を繋ぎ、教えてもらった通りに進むと、大きな建物の前に辿り着く。
「これが、商人ギルドの本部か」
「それなりに大きいねー」
「あの、早く! 早く中へ入りましょう!」
アーニャに引っ張られるようにして中へ入り、ギルドの職員や、他の街から来たと言う行商人などに話を聞いてみたが、有益な情報は出て来なかった。
しょんぼりしているアーニャを連れ、ギルドから少し離れた場所にあるカフェで、これからどうしようかと話をしていると、
「よう。アンタたち、獣人族を探しているんだってな」
ガラの悪い五人程の男たちが話しかけてきた。
見た目は明らかに胡散臭い、いわゆるゴロツキと呼ばれるような風貌なのだが、
「は、はい! 何か、御存知なのですか!? 些細な事でも構いませんので、教えてください!」
アーニャがキラキラと目を輝かせて話に喰いつく。
「いやー、俺たちもちょいと耳にした程度だから詳しくは知らないんだがよ。あっちに見たって奴が居るんだよ。話だけでも聞きに行くかい?」
「はいっ! お願いします!」
あからさまに怪しいのだが、アーニャが居ても立っても居られない様子で立ち上がってしまった。
仕方が無い。嫌な予感しかしないが、行くしかないか。
アーニャと一緒に行こうと俺が立ち上がると、
「あー、そっちの兄ちゃんはここで待っていてくれ。見たって奴が極度の人見知りでよ。出来るだけ少ない人数にしてやりてーんだわ」
もっともらしい言い分で、アーニャを一人にしようとする。
そのくせ、
「でも、そっちのお嬢ちゃんなら来ても良いぜ。人見知りする奴だけど、一人くらいなら増えても大丈夫だろ」
などと言ってくる。
いやいや、だったら俺が一緒でも良いだろう。
確実に黒だと決めつけて、セシルに目をやると、俺と同じ考えだったようで、無言のまま小さく頷いた。
しかし、
「すみません。ではリュージさん、セシルさん。少しだけ待っていてください。ちょっと話を聞いてきます」
俺が止める間も無く、アーニャが走り出す。
「アーニャ、待つんだ! これは、怪し過ぎる! 止まるんだっ!」
「おっと、兄ちゃん。どこへ行くつもりなんだ? 座ってな!」
だが俺の声はアーニャに届かず、三人の男が行く手を阻む。
「邪魔を、するなっ!」
ゴロツキたちにタックルを仕掛けて、強硬突破しようとした所で、
「フッ――この世に悪の栄えた試しなし! 愛と勇気と希望の名の元に、ホーリープリンセス参上っ!」
変な奴が現れた。