「リュージ=サイトウ様。大変長らくお待たせいたしました。こちらが当ギルドの証となる、ギルドカードです。身分証にもなりますので、紛失にお気を付けください」
少しすると、先程よりもますます丁寧になった女性が、ギルドカードについて説明をしてくれた。
何でも商人ギルドは、国を跨いで共通利用が出来るそうだ。
……って、この国の都市どころか、この世界の国とか地域とかを、全く知らないな。
どこかで地図が売って居たら、是非とも入手しなければ。
受け取ったカードは、交通機関が発行しているICカードみたいな感じで、銀色のカードに黒い字で俺の名前が。預金という文字と共に零の数字が書かれている。
――スキルの修得条件を満たしましたので、お店屋さんごっこ「鑑定」が使用可能になりました――
……って、このタイミングでスキルを修得?
名称的に、ギルドカードを貰って「商人」になる事が修得条件なのだろうが、お医者さんごっこに続いて、お店屋さんごっこって。
一先ず、使えるようになったばかりの、鑑定の効果が知りたいので、何か無いかと考え……持って来ていたマジック・ポーションの事を思い出した。
「あの、すみません。カードを作ってもらってすぐで申し訳ないんですけど、アイテムの買い取りをお願いしたいのですが」
「畏まりました。当ギルドのメンバーですので、もちろんすぐにお取引させていただきます」
「では、こちらなんですが」
鞄の中から持ってきたマジック・ポーションを取り出し、テーブルの上に並べて行く。
セシルの見立てでは、AランクかBランクのマジック・ポーションで、物凄く珍しい品では無いという話だったのだが、何故か目の前の女性に驚かれる。
AやBは珍しくはないけれど、一度に十本というのが多過ぎたのだろうか?
まぁいいや。一先ず、鑑定を試してみよう。
「……鑑定……」
小さく呟くと、銀色の枠が現れ、
『鑑定Lv1
マジック・ポーション
Aランク』
とだけ記載されていた。
まだレベル1だから、アイテムの説明とかは無いのだろうか。
このレベルが上がれば、いずれアイテムの説明もしてくれと助かるのだが。
机に並べたマジック・ポーションを女性が一つ一つチェックしている間に、俺も順次鑑定していくと、十本中六本がAランクで、四本がBランクという結果が出た。
それ一つを見れば分からないけど、AランクとBランクのポーションを並べて比べてみると、僅かにBランクの方が色が淡い気がする。
「サイトウ様。買い取りをご希望されているのは、こちらのマジック・ポーションでお間違えないでしょうか」
「はい。幾らくらいになりますか?」
「そうですね。いずれもBランクですが、マジック・ポーションはあまり市場に出回らず、かつ人気商品ですので、一本金貨二枚で、合計金貨二十枚ですね」
おぉ……元はヘーゼルの実――ただのへーゼルナッツが金貨だなんてボロ儲けではないだろうか。
……いや、喜ぶのはまだ早いか。もしかしたら、この世界では元となったへーゼルナッツが手に入らないのかもしれない。
女性は全部Bランクだと言っているが、実際はAランクなので、その分もきっちり貰っておいた方が良さそうだ。
「すみません。全部Bランクと仰られましたが、ここから、ここまでの六本はAランクですよね?」
「……いえ、Bランクですよ。そもそも、Bランクのマジック・ポーションですら珍しいのに、Aランクのマジック・ポーションを商人ギルドへ入りたての方が所有しているというのは、ちょっと……」
あれ? AランクやBランクのポーションって珍しいの?
セシルはAもBもセシルは普通だって言っていたよね?
どうしたものかとセシルに目をやると、
「お姉さん。お兄さんはボクの紹介なんだけどなー」
「ル、ルロワ様……で、ですが、マジック・ポーションのランクはBが妥当かと」
俺の援護をしてくれたのだが、女性は譲ろうとしない。
困った俺と、ニコニコと笑みを崩さないセシルに、泣きそうな表情の女性。
三人が膠着状態になり、暫し部屋の中を沈黙が支配すると、
「失礼。随分と静かですが、何かあったのでしょうか」
カッチリとした服装の中年男性が部屋へ入って来た。
少しすると、先程よりもますます丁寧になった女性が、ギルドカードについて説明をしてくれた。
何でも商人ギルドは、国を跨いで共通利用が出来るそうだ。
……って、この国の都市どころか、この世界の国とか地域とかを、全く知らないな。
どこかで地図が売って居たら、是非とも入手しなければ。
受け取ったカードは、交通機関が発行しているICカードみたいな感じで、銀色のカードに黒い字で俺の名前が。預金という文字と共に零の数字が書かれている。
――スキルの修得条件を満たしましたので、お店屋さんごっこ「鑑定」が使用可能になりました――
……って、このタイミングでスキルを修得?
名称的に、ギルドカードを貰って「商人」になる事が修得条件なのだろうが、お医者さんごっこに続いて、お店屋さんごっこって。
一先ず、使えるようになったばかりの、鑑定の効果が知りたいので、何か無いかと考え……持って来ていたマジック・ポーションの事を思い出した。
「あの、すみません。カードを作ってもらってすぐで申し訳ないんですけど、アイテムの買い取りをお願いしたいのですが」
「畏まりました。当ギルドのメンバーですので、もちろんすぐにお取引させていただきます」
「では、こちらなんですが」
鞄の中から持ってきたマジック・ポーションを取り出し、テーブルの上に並べて行く。
セシルの見立てでは、AランクかBランクのマジック・ポーションで、物凄く珍しい品では無いという話だったのだが、何故か目の前の女性に驚かれる。
AやBは珍しくはないけれど、一度に十本というのが多過ぎたのだろうか?
まぁいいや。一先ず、鑑定を試してみよう。
「……鑑定……」
小さく呟くと、銀色の枠が現れ、
『鑑定Lv1
マジック・ポーション
Aランク』
とだけ記載されていた。
まだレベル1だから、アイテムの説明とかは無いのだろうか。
このレベルが上がれば、いずれアイテムの説明もしてくれと助かるのだが。
机に並べたマジック・ポーションを女性が一つ一つチェックしている間に、俺も順次鑑定していくと、十本中六本がAランクで、四本がBランクという結果が出た。
それ一つを見れば分からないけど、AランクとBランクのポーションを並べて比べてみると、僅かにBランクの方が色が淡い気がする。
「サイトウ様。買い取りをご希望されているのは、こちらのマジック・ポーションでお間違えないでしょうか」
「はい。幾らくらいになりますか?」
「そうですね。いずれもBランクですが、マジック・ポーションはあまり市場に出回らず、かつ人気商品ですので、一本金貨二枚で、合計金貨二十枚ですね」
おぉ……元はヘーゼルの実――ただのへーゼルナッツが金貨だなんてボロ儲けではないだろうか。
……いや、喜ぶのはまだ早いか。もしかしたら、この世界では元となったへーゼルナッツが手に入らないのかもしれない。
女性は全部Bランクだと言っているが、実際はAランクなので、その分もきっちり貰っておいた方が良さそうだ。
「すみません。全部Bランクと仰られましたが、ここから、ここまでの六本はAランクですよね?」
「……いえ、Bランクですよ。そもそも、Bランクのマジック・ポーションですら珍しいのに、Aランクのマジック・ポーションを商人ギルドへ入りたての方が所有しているというのは、ちょっと……」
あれ? AランクやBランクのポーションって珍しいの?
セシルはAもBもセシルは普通だって言っていたよね?
どうしたものかとセシルに目をやると、
「お姉さん。お兄さんはボクの紹介なんだけどなー」
「ル、ルロワ様……で、ですが、マジック・ポーションのランクはBが妥当かと」
俺の援護をしてくれたのだが、女性は譲ろうとしない。
困った俺と、ニコニコと笑みを崩さないセシルに、泣きそうな表情の女性。
三人が膠着状態になり、暫し部屋の中を沈黙が支配すると、
「失礼。随分と静かですが、何かあったのでしょうか」
カッチリとした服装の中年男性が部屋へ入って来た。