幽霊剣闘士ヴィックの言う通り、外を見ると遺跡の様な場所の真ん中に家を出していた。
人が集まる前にと、急いで家を出る。
「出し入れ自由な家か。様々な人を観察してきたが、こんなスキルは初めて見たぜ」
とりあえず場所を変え、遺跡からそれなりに近い場所で観光客向けの露店があったので、朝食を注文したついでに話を聞いてみた。
「遺跡の地下? 入れるけど自己責任よ。昔は墓地として使われいたらしい……って事くらいしか知らないけど」
「いえ、ちょっと覗いてみようかなーって思っただけでして」
「そうなのかい? だったら夏頃においでよ。闘技場で亡くなった人たちのために、毎年ゴスペルコンサートをやっているからさ」
「そうなんですね。ありがとうございます」
お礼を言って露店から離れると、
「今のコンサートなんだけど、あれ五月蠅いんだよなー」
「ゴスペルって神様の歌じゃないの?」
「歌の内容はそうだろうけど、歌っているのは一般人だから、何の効果も無いね」
ヴィックが中々に辛辣な事を言う。
聖なる歌とかって、日本でも結婚式とかで聞くけど意味ないのか。
まぁあれは牧師さんもアルバイトの外国人だって言うし、雰囲気だけなんだろうけど。
遺跡が見えるベンチで朝食を食べ終え、さて次だ……という所で、
「リュージ殿。そちらは娘さんで?」
「いや、違うから。大事な仲間だよ」
「なるほど。では、こちらの猫耳のお嬢さんは奥様?」
「いや俺は結婚してないから」
「なるほど。両手に花ですか。羨ましい」
ヴィックが何かを盛大に勘違いて、一人でうんうんと頷いている。
セシルはキョトンとしているし、アーニャは完全にスルーしているので、俺も放っておこうか。
街の商店街へ移動し、アーニャが望む食料を買い込み、遺跡をどれくらいの時間探索するかも分からないので、すぐに食べられるサンドウィッチみたいな物も購入しておく。
「リュージ殿。では、いよいよ出発ですな?」
「いや、あと二人の服を買うから。ヴィックが急ぐ気持ちも分かるけど、これはこれで大事な問題だから、ちょっと待って欲しいんだ」
セシルもアーニャも、同じ服を洗濯して着続けているし、下着は芽衣のものだからね。
このまま遺跡の中へ入ってしまったら、また暫く服が買えないなんて事になるかもしれない。
ヴィックには悪いけど、今度こそちゃんとした服を買ってあげないと。
「承知した。まぁ今まで待ってきた年月に比べれば、一日や二日なんて、ほんの一瞬だからな」
「流石に服を買うだけでそんなに時間は必要ないけど」
「リュージ殿、甘いですぞ。女性が服を買うとなれば、これ程までに時間の掛かる買い物など、そう無いですからな」
ヴィックが恋人の事を思い出しているのか、遠い目になり、ちょっとげんなりした表情になる。
愛する人の事を思い出しているはずなのに、そんな表情になるくらい時間がかかるの!?
だけど、それはヴィックの恋人が迷う人だからじゃないかな? セシルやアーニャは、あまり服に拘る感じはしないんだけど。
この二人ならすぐ終わるだろうと思いながら、街で見つけた服屋さんへ。
「二人共、ララさんから貰った報酬もあって、資金に余裕があるから好きな服を買ってきてよ」
「お兄さん、いいの?」
「リュージさん。私にまで宜しいのですか?
困惑する二人に大きく頷くと、早速店内を見て回り、
「お兄さん。じゃあ、ボクはこれを」
「私も、これをお願いします」
「じゃあ会計を済ませようか」
ほんの数分でそれぞれの服を何枚か選び終える。
「何故だっ!? ここから似たような服を何着も試着室へ持ち込み、一着ずつ着替えては感想を聞かれ、適当に答えたら拗ねられるという、無限地獄にハマるんじゃないのかっ!?」
よく分からない叫び声をあげるヴィックをスルーしながら会計を済ませ、遺跡の地下へ向かう事にした。
人が集まる前にと、急いで家を出る。
「出し入れ自由な家か。様々な人を観察してきたが、こんなスキルは初めて見たぜ」
とりあえず場所を変え、遺跡からそれなりに近い場所で観光客向けの露店があったので、朝食を注文したついでに話を聞いてみた。
「遺跡の地下? 入れるけど自己責任よ。昔は墓地として使われいたらしい……って事くらいしか知らないけど」
「いえ、ちょっと覗いてみようかなーって思っただけでして」
「そうなのかい? だったら夏頃においでよ。闘技場で亡くなった人たちのために、毎年ゴスペルコンサートをやっているからさ」
「そうなんですね。ありがとうございます」
お礼を言って露店から離れると、
「今のコンサートなんだけど、あれ五月蠅いんだよなー」
「ゴスペルって神様の歌じゃないの?」
「歌の内容はそうだろうけど、歌っているのは一般人だから、何の効果も無いね」
ヴィックが中々に辛辣な事を言う。
聖なる歌とかって、日本でも結婚式とかで聞くけど意味ないのか。
まぁあれは牧師さんもアルバイトの外国人だって言うし、雰囲気だけなんだろうけど。
遺跡が見えるベンチで朝食を食べ終え、さて次だ……という所で、
「リュージ殿。そちらは娘さんで?」
「いや、違うから。大事な仲間だよ」
「なるほど。では、こちらの猫耳のお嬢さんは奥様?」
「いや俺は結婚してないから」
「なるほど。両手に花ですか。羨ましい」
ヴィックが何かを盛大に勘違いて、一人でうんうんと頷いている。
セシルはキョトンとしているし、アーニャは完全にスルーしているので、俺も放っておこうか。
街の商店街へ移動し、アーニャが望む食料を買い込み、遺跡をどれくらいの時間探索するかも分からないので、すぐに食べられるサンドウィッチみたいな物も購入しておく。
「リュージ殿。では、いよいよ出発ですな?」
「いや、あと二人の服を買うから。ヴィックが急ぐ気持ちも分かるけど、これはこれで大事な問題だから、ちょっと待って欲しいんだ」
セシルもアーニャも、同じ服を洗濯して着続けているし、下着は芽衣のものだからね。
このまま遺跡の中へ入ってしまったら、また暫く服が買えないなんて事になるかもしれない。
ヴィックには悪いけど、今度こそちゃんとした服を買ってあげないと。
「承知した。まぁ今まで待ってきた年月に比べれば、一日や二日なんて、ほんの一瞬だからな」
「流石に服を買うだけでそんなに時間は必要ないけど」
「リュージ殿、甘いですぞ。女性が服を買うとなれば、これ程までに時間の掛かる買い物など、そう無いですからな」
ヴィックが恋人の事を思い出しているのか、遠い目になり、ちょっとげんなりした表情になる。
愛する人の事を思い出しているはずなのに、そんな表情になるくらい時間がかかるの!?
だけど、それはヴィックの恋人が迷う人だからじゃないかな? セシルやアーニャは、あまり服に拘る感じはしないんだけど。
この二人ならすぐ終わるだろうと思いながら、街で見つけた服屋さんへ。
「二人共、ララさんから貰った報酬もあって、資金に余裕があるから好きな服を買ってきてよ」
「お兄さん、いいの?」
「リュージさん。私にまで宜しいのですか?
困惑する二人に大きく頷くと、早速店内を見て回り、
「お兄さん。じゃあ、ボクはこれを」
「私も、これをお願いします」
「じゃあ会計を済ませようか」
ほんの数分でそれぞれの服を何枚か選び終える。
「何故だっ!? ここから似たような服を何着も試着室へ持ち込み、一着ずつ着替えては感想を聞かれ、適当に答えたら拗ねられるという、無限地獄にハマるんじゃないのかっ!?」
よく分からない叫び声をあげるヴィックをスルーしながら会計を済ませ、遺跡の地下へ向かう事にした。