「ねぇ、蘭のこと、うちらのせいとか言われないよねぇ?」
「言われないっしょ。だってうちら直接的なことなんもしてなくない?」
「だよね。先生も多分、「なんで?」って思ってると思う」
「まあでも蘭、ムカつくしさぁ。一生引きこもってればいーよ、どうせうちらもう友達じゃないし」
「ね。杏未もそう思うよねぇ?蘭ってなんか、うちらのこと見下してるっていうかさ」
「わ、わたしは……え、っと」
「え?なにはっきり喋ってー」
「う、うん、ごめん……」
友達って、そんなに簡単にやめられるものなのか。
そもそも、そんな会話を昼休みに教室でするのって、佐藤と菊池の体裁的に大丈夫なのだろうか。俺に聞こえるということは、彼女の近くに座っていた人にはもっとはっきり聞こえていたに違いない。
聞いていたこっちもとても不快だったので、睨むように視線を向けてみたけれど、佐藤たちは自分が話すことに夢中になっていて俺の視線になど気づきそうになかった。
視界の端で、泣きそうになるのをこらえながら必死に笑顔を繕う藤原さんの姿が鮮明だった。