杏未は、推薦入試で無事進学先が決まり、春から隣の県で一人暮らしをすることになっている。

センター試験や一般入試を受ける予定の同級生はこの冬からが勝負時なのに対して、推薦組は時間に余裕があるので、杏未とは以前より会う時間が増えた。



一方私はというと、学校に行きたいという旨を母に話し、ふたりで一緒に学校に出向き、担任の先生と三者面談をした。

3年間のうちの半分以上不登校を続けていたので、出席日数をはじめ、卒業に必要なものが諸々足りていないらしく、予想していた通り、留年は免れないみたいだ。



来年からもう一度3年生を1からやるか、もしくは通信制の高校に転入するという方法もありますと言われ、私は迷わずこの学校でやり直すことを選んだ。


当然のことながら杏未は卒業してしまうし、1つ年下の人たちと授業を受けるのは多少の居心地の悪さを感じるけれど、中学生の私が行きたくて選んだ高校がここだったから、同じ場所でやり直したいと思ったのだ。