綺と会う日はよく眠れた。悪い夢を見なくなった。

綺がそばに居てくれるから、わたしは頑張れる。わたしは病気なんかじゃない。少し不安定なだけ。少し寂しがり屋なだけ。



「綺がいなかったら、わたしはきっと今もひとりぼっちだった」


口癖のようにわたしがそう言う度に、綺は「大丈夫」と言ってくれた。やえは大丈夫、ダメなんかじゃない。不思議と、本当に大丈夫になれた気がした。



いつからだったんだろう。いつからわたしは、綺の自由を奪うようになってしまったんだろう。



「綺はわたしがダメだから会いに来なくなったの?」
「綺は今日も来ないの」
「綺に会いたい」
「綺がいないならもう死にたい」


無意識のうちにそんな言葉がポロポロと零れ落ちるようになり、夜は眠れず、朝は早くに目が覚める。聞こえるはずのない悪口が聞こえる。何をするにもやる気が起きず、一日中屍のように天井を見上げて過ごすようになった。ご飯が喉を通らず、体重が5kg落ちた。