*
綺の話を聞いた。
それが、綺が私に初めて見せた過去だった。
不安定な幼馴染がいた。
彼女に最後まで寄り添うことができずに逃げたこと。誰が嫌いとかダメとかじゃないのに、何もかも突然嫌になる時がある。幼馴染の彼女が言っていたその意味を、身をもって実感してしまったこと。
今もまだ、自分のことが許せずにいること。
話合うこともせず逃げ続けて5年。今になって母親が偶然彼女に遭遇して、綺のことを気にしているみたいだから連絡をしてあげたら?と言われた。
どうしていいかわからない。
綺は、私にそう言った。
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