「なぁ、蘭」


全部話終えた私を、星を見上げながら綺が呼ぶ。穏やかで心地よい声だった。


「文化祭さぁ、俺の学校(とこ)、来たらいんじゃん?」

「……え?」

「学校、行きたいけど行きたくないんだろ。会いたくない人とか苦手な人とかいるって思ったら純粋に楽しむのってむずいじゃん。だからいっそ新しい場所にすりゃいいんだよ。友達一緒に連れてきてさ、青春しようぜ」



思いがけない提案に目を瞬かせる。「ど?」と聞かれ、首を縦にも横にも振れずにかしげた。

選択肢になかったのだ。綺の学校に行くなんて、そんな思考は今この場で提案するまで持ち合わせてはいなかった。



「で、でも……綺に迷惑かける」

「え なに?爆弾でも仕掛けんの?それは確かに迷惑だけどなぁ」

「え?いや、そうじゃな……、」



「蘭、」と言葉を遮られる。綺はいつだって、私より私の名前を大切にしてくれている。それが伝わるからこそ、私は何も言えなくなる。