「レターセット、集めるの好きって言ってたじゃん。つい買っちゃうんだろ?夜だって、あの空気が好きになっちゃったから、落ち着くから。だから来るんだろ。つい、って言葉がつく出来事があるってさ、良いよな」

「え、……っと」

「俺も、肝試し来た時、この星を見つけてさ。つい、夢中になっちゃって。肝試し途中で抜けたんだよな」

「え、ええ……それはどうなの」

「な。あとからペアの女の子に日之出くんサイテーって怒られた」

「そりゃそうなるよ。こんな暗闇の中、ひとりで置いてかれたら怖いよ」



そう言ったらははっと笑われた。

笑い事じゃない。ここは星が見えるとは言え、もし今綺に置いてけぼりにされたら怖くなってしまう。散々一人で深夜の公園に出向いていたけれど、墓地が近くにあるだけでこんなにも感覚が違うのだ。


繋がれたままの右手から伝う温度を感じ、綺がそこに居ることを実感する。どこか、ほっとした。